第22話 発見
俺たちが警察に戸籍を提出してから、しばらくして、マリス君は無事見つかった。その話を俺は警察からではなく、ジュード君から聞いた。彼はしつこく毎日のように問い合わせていたから、警察も本気で捜査してくれたのだろう。
「マリスはもう保護されて施設に入ってるそうです」
「あ、そうか。よかった。だけど、保護されたのっていつ?」
「なんか、一か月くらい前だって」
「そんなに最近?」俺と出会って一年くらい経っていた。
「なんか、客とホテルで一緒の時に倒れちゃったみたいで。チェックアウトの時間になっても出てこないから、ホテルの人が部屋を見に行ったら、中で倒れてたそうで。そのまま救急車を呼んでくれたんだそうです」
ずいぶん、危険な状態だったんだ。
「体は大丈夫?」
「退院して、今は施設に住んでるって」
「そっか…なら、よかった」
「俺、会いに行こうと思ってるんです。一応、兄弟だし」
「そっか。きっと喜ぶよ。彼、身寄りがないみたいだから…」
「かわいそうだなって…俺、マリスの家族になってやろうかなって思ってるんで。母親も弟たちもそれでいいって」
なんていい話なんだ!
俺は感動した。
一番いい結末じゃないか。
彼も家族が見つかったなんて。
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