第95話 吉祥の白竜(2)
僕とイオの考えとしてはこうだ。
1つ目は多分僕一人の魔力量では至らない。ならば、双子であるイオの助力を得て魔法を行使する。
2つ目は巧緻魔法、環境づくりのプロ、救国の魔法使いに助力を得る。
3つ目は可能であれば、卵と契約をしたチーズさんの兄の助力を得ること。卵からの情報を契約をしている分多く取り出せる可能性が高いからだ。
4つ目はナットでその魔法を行使すること。ナットであれば来てほしくない相手を凍結魔法により除外することができ、安全策をとることができる。
結局かの国にいるあの二人の力を借りないことには、難しいという結論に至ったということなのだけれど、時差を考えるとそろそろ連絡を取ってよいころ合いだ。万が一の時にくれた通信機器が本当に日常の通信機器として使用されている現状は、頼りすぎてるのか、便利なためなのかがよくわからない。
「えっ、兄さんたちにアドバイスを受けるの?いいとおもうけど、あの人たち感覚で教える節があるから、絶対優しくないよ?なんていうか、わからないことがわからないタイプだから。兄さんは確実、あの魔法使いさんはほぼ間違いなく。」
チーズさん何気に辛辣。
「頼りすぎるんじゃなくて、自分でやってみれば、って言われるまであまり指示されたことでしか考えたことなかったんですよね。僕もイオもどちらかというと頭の回転がいい方だとおもうんですけど、そのせいか、安全を狙い過ぎるところがある自覚があって、しかも何かをする場合確実にできる範囲のことを指示されてこなすという、ワンランク上を狙った勉強とか、方策を考えるとかはやってこなかったんですよね。しかもこれをやってみたいです!みたいなことも、ほぼ言ってこなかったんですよ」
自覚はあったんだ。もっと上を狙ってもいいのではと思いつつ、僕たちの魔力の練り方が甘かったら、大きな事故がおきたらどうしようという不安がまとわりつく。
僕たちの魔力暴走が原因で故郷を焼いた過去からは逃げられない。
凍結魔法で自分たちの名は忘れてしまったというのに、どうしてそういうことは忘れられないのか。
ただ、今回は大丈夫。
いよいよになったら■■様がいる、救国の勇者と救国の魔法使いもいる。
未知数だけどチーズさんもいる。
何か頭にひっかかる。ただ、これを考えすぎるとおそらく前回のあの時同様失神してしまうきがしたので、考えるのを、やめた。
◇
『お、少年たち。相談事か。』
『■■には許可をとって…無許可。だよね。わかるわかる。すっごく私が悲しいけど、ものすごくわかる。』
ウララさんの願いを叶えるために久しぶりにチーズさんの家に拠点を移し、僕の部屋でイオと相談を行っている。いつも繋がっているには繋がってはいるのだけれど、近くにいると安心感が果てしない。あと、盟友とかってに決めた勇敢なカニンヘンダックスフンド、ういもいる。
師匠とチーズさんは、畑の管理をしにいっている。師匠は単純に凍結魔法を維持するのはいいが、それ以外の行動を起こそうとすると魔力をガンガン食われていて結構大変だ、ということを隠すのをやめて少し楽そうだ。状況証拠的にバレたというか、あの救国の魔法使いがばらしたというか。
『あの卵の遺伝情報を辿ってウララの伴侶を見つけろクエスト。ほーーーーーそれ練習なしの一発勝負になるやつ』
『魔術式はちゃんと学んでいるですね。偉い偉い。しっかり、注意深く、魔力を編めば君たちのレベルと技術があれば、できるとおもいますよ。破綻しそうになったら、一度止めてひといきおいて。うわー失敗したご破算!とかいってあきらめちゃだめですよ。やり直しが一番危険な魔法ですから。あとお二人とも
スキルは自動付与系のスキルと、選択取得系のスキルがある。選択取得スキルの中に、魔術編纂2倍、5倍、10倍というのがあったので全部とる。
『魔術編纂スキルは、強制的にゾーンを展開していくスキルですので、ゆっくり考えて魔術を編んでいるつもりでも、実際のスピードは倍速以上。デメリットは疲労感、長時間の使用は脳への負荷もあるので、ここぞというときだけ、使うといいですよ~』
ここで、チーズさんの言っていた言葉が頭をよぎる。わからないことがわからないだろうと。
今回感じたことは、必要なものは教える、最短ルートを教える、ただ、普通にできて当たり前の扱いをする。僕の力があれば大丈夫、だという。これは、期待に応えたほうが僕の人生かっこいいのではなかろうか。
「アオの力があれば、俺もできると思う。協力はするから、頑張ろうな。」
イオの言葉が力強い。あと、お尻をぴったり僕にくっつけてくるういもかわいい。
『この卵の父親に繋がるきっかけ、結構簡単に拾えたんだけど。ウララの旦那、血眼になって探してるんじゃないかこれ。変に危険な目に逢ってないといいけど。』
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