第67話 アトル/南の国(3)
『アトルは南の国であって、南の島ではない。大陸の一部で一部海に面している、赤道に位置する国である。』
医療ギルドの用事が終わったあと、永長に連れられ城下町の道案内にそう書いてあった。
地図の右側に手のマークが描いてあり、そこに手をかざすと、ステータス画面に世界地図と城下町の地図、アトルの地図がそれぞれダウンロードされた。
「この国独自のサービスなのですが、便利ですよね」
スマホのQRコードみたいなかんじ?そういえばしばらくスマホを触ってない。というかフリースペースに突っ込んだまんまだ。
「本当にこのシステム全部の国に普及してほしい」
「僕もダウンロードしました!便利!」
「この国は飛行アイテムの作成・販売が盛んな国ですが、そうなった理由が国境との間がすべてダンジョンであり、ある程度の実力がある冒険者でやっと国境が超えれるといった有様となるのです。そのため、国境を超える場合ある程度上空を飛行できる飛行アイテムを購入し、飛んでいくほかありません。ただし、空の飛行についても魔物や鳥、ドラゴンの襲来にあたらないとも限らないのですが。」
ダンジョンは最初から国境ダンジョンに挑まなくてはいけないのではなく、それ以外に6つのダンジョンが点在。入る場所を間違えるとレベル差で生きて帰れないため、ダンジョンには冒険者ギルドの職員がゲートを作成してくれてあり、ある一定のレベルに達していないとそもそもはじかれて入れない仕組みだそうだ。
ダンジョンマスターはアトルの王であり、この国の運営も、司祭もすべて執り行っているという。
年に数回、祭りの時のみ民の前に姿を現す。
そして、地図をめくっていくと、アトルの歴史書はこちら
という、ダウンロードボタンが表記される。これ一体どんな人がつくったのだろう。後で読んでみよう。
「さすがにダンジョンの国だけあって、クエストの課題がまるごとダンジョン産っぽいんだけど、私は鉄砲撃ちだから跳弾とかしたら危険でしょ?多分もう一つ扱いやすいことになっている短剣で戦うのが良いとはおもうんだけど、別の何かも考えておいたほうがいいよね。魔法といっても土と雷だし、何かこの国にいい武器ないかな…あと前衛が欲しい」
「そういえばういのレベルも結構あがってますよね。回復職をういくんに任せて、ボクが前衛に立ちますか?」
「私も志摩もこの国のダンジョンなら深層以外は踏破していますので、私たちもともに行くことができますよ」
◆
拠点に帰り、許可を得てういを出す。
ういは私とアオくんの周りをいったり来たりしたあとに、私の膝の上に安着する。
「ういのステータス見てみるね」
そういい、ステータスを確認・共有。
【うい:LV55】
・吠える(付帯:悪霊払い):レベル20
・舐める(付帯:回復):レベル15
・散歩(付帯:飼い主とともにMP回復):レベル20
・身体強化:レベル20
・巨大化
・人型変異
スキルポイント:残2
「もしかしてうい、自分でスキルポイント振ってたの?!」
ういはうれしそうにしっぽをふって顔をなめて肯定してくれる。
「人型変異ってやってみれるの?」
そう聞くと、あくびをする。都合がわるいらしい。
「チーズ様、私も永長も【人型変異】によりいま人型をとっていますが、スキルをとったばかりだと、会話ができないのです。人型をとって吠えるだけ、無言はストレスがたまりますので、もうちょっと成長を待ってからにしたほうが良いかとおもいますよ。」
その様子をみて志摩が教えてくれる。どんな美少年が見れるかと思ったのに。いや、ういはもう3歳だから、美青年か?
「あ、そういえば私もギルドランク上げたから、スキルランクやっと上げれるじゃない!」
【チーズ:LV94】
HP:1350
MP:850
スキルポイント:1550
スキル:合成 レベル1
時間干渉 レベル1《レベルアップ:冒険者Cランクで開放》
解析 レベル1《レベルアップ:冒険者Cランクで開放》
《冒険者ギルドCランクで開放》
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固有スキル:銃弾作成
汎用スキル:鑑定レベル3《レベルアップ:冒険者Cランクで開放》、ステータス確認レベル1《レベルアップ:冒険者Cランクで開放》
パッシブスキル:視力強化レベル《レベルアップ:冒険者Cランクで開放》2、魔石収納、動物言語レベル1《レベルアップ:冒険者Cランクで開放》、アイテム収納
魔法属性:雷、地、召喚、????、????、????、????
ギルドランク: 《加入ギルドのみ表記》
■冒険者ギルド:E
《ヘルプ:レベル50以上となりましたので、冒険者ギルドクエストをステータス画面で受注・進行・納品が可能となります。ただし、ギルドランクアップは各都市の冒険者ギルドで行ってください》
■研究者ギルド:C
■医療ギルド
加入ギルドのみ、に表記が変わっているということは、医療ギルドで説明を受けたことによりステータス画面もあわせてアップデートされたってことか。すごいぞ。
「ってアアアーーー!!そうだった」
周りのみんなが私の大声でビクっとする。
「え、どうしたのですかチーズ様」
「今ステータス画面みるまで忘れていたんだけど、私の覚えているスキル・魔法がことごとく、冒険者ギルドランクCにならないと、レベルが、あがらない…」
いま、合成しか、あげられない…とどんどん小声になっていく。
その結果、私に対して憐れむような視線が送られたのであった。
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