名詞句の羅列による話

 冬の終わりに不安の芽生え。春のはじまりとともに怠惰。雨の季節、そして押し寄せる焦燥感。落ち着きのない心を持て余す日々。


 朝7時。布団に寝転がった私の目覚め。窓から差し込む朝日のもたらす、晴れた初夏の期待感。布団から体を起こし、窓を開けて吸い込む外の空気。窓ガラスを透かした朝日には含まれていなかった湿気と息苦しいような暑さ。萎える気持ち。期待外れ。自室に満ちる自身固有の気持ち、落ち着きと安心。ドアを開けて感じる疎外感と孤独感、そしてなじめない気持ち。友人との会話、あるいは笑い。心の躍動、落ち着きの発見。午後のまだ暑い時間に冷房の効いたオフィスから眺める積乱雲。空に浮かんだ水辺の記憶、川のせせらぎ。幼かった頃の純粋な心の名残。自己愛。自己自身への愛。再帰的愛。そして夕暮れ。坂道に沿って移ろいゆく、花々の香り。日没の光に映し出された遠くの山並み。坂を登り終えて垣根に沿って曲がった、その先からやってくる車のライト。一日の主役を照らすスポットライト。玄関にあがって、短編の終わり。エピローグとしての眠り。

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