第11話


衝撃の告白カミングアウトに、


頭がいっぱいいっぱいになる。


え?


閉じ込め?


二次元でしか起こり得ないことが、


今この現実で起きてる?


「え、どういう、こと…?」


「いやあ~、こういうことでさ…___」


まあ、長々とした彼の説明を要約すると、こうだ。


大分前に、先生が学校の鍵を閉めると達也くんに伝えたそうだ。


はやく帰りなさいと言った先生に対し、達也くんは、


「大丈夫っすよ、俺学校の鍵持ってますし」


とひょうひょうと答えた。


実はこの学校は、


学校の鍵を持っている生徒が何人か存在しているのだ。


部活や委員会などで、どうしても休日学校に行かなければならない生徒達の中で、


代表の生徒達が持っていたりする。


まあ、その達也くんの答えにあっさりと騙された先生は、


安心して学校に鍵をかけて帰ったらしい。


「で、達也くんは鍵を持ってなくて、今とてもヤバい状況ですよと…」


「そうそう」


「馬鹿じゃんっ?!」


「もとはといえばもっと早くお前が起きとけば良かったんだよ」


「うう、そこに関してはすいません…」


というか、元はといえばものさしが悪い。


まあ謝っても、この状況が変わることはないので、


絶望的である。


「とりあえずブレーカーは落とさずいてくれたから、電気は大丈夫そうだな」


「ヤバいのは食料と…、寝るところ?お風呂もか」


「おし、寝るところ見に行くか」


俺のおすすめは体育館倉庫だな、と達也くんは付け足した。


達也くんはしばらく考える仕草をしたあと、


こちらを見てにぱりと笑った。


笑ってんじゃねーよ。


今必死にキミの尻拭いをしてるんだよ。


それはそうとして、体育館倉庫にはマットとかが置いてあるからかな。


マットで寝たら…、次の日体が痛くなりそうだけど。


ほぼ床と変わらないんじゃないのかな。


あと、単にマットは嫌だ。


***


「教室になんか置き忘れてないかなぁ」


「お、今なら落書き出来るぜミヤ。黒板アートしよう」


「するか!探索だよ、探索!」


「まあ教室には何も無さそうだな…」


なんかあったときのためにホウキ持っとくかと言って、


達也くんは掃除ロッカーからホウキを取り出した。


……それ何にどう使う予定なの…?


***


「職員室ってこんな広かったんだな」


「あ、ここ山田先生の机かな、きたな…」


「職員室もなんにもなさそうだな、次は事務室だ」


***


「マジックがいっぱいだね」


「一本持っとくか、青にしとく?」


「青と赤にしようよ、補色にしとこう」


「センス尖ってんな…。ほいよ、お前が持っとけ」


「おっけ、ありがと。次は__保健室?」


***


「ていうかさ、保健室のベッド使えばよくない?」


「今気付いた。お前天才だな」


「えへへ、ありがと」


「やっぱお前女だろ。下脱いでみろ」


「だれかーっ!ここに変態がいまーすっ!!!」


***


「食材はないけど、調理器具は調理室にあるね」


「砂糖と塩ならあるぜ、ほれミヤ」


「食べないよ、バランスを考えてバカ」


「湯沸かせるのができるんだったら甘い白湯さゆが…?」


「僕、それを白湯とは認めないからね」


***


色々場所が変わったけど、今は保健室。


ベッドに並んで座って、


疲れを癒やしてる。


「うー、結構見て回ったけど…。ご飯は難しそうだね」


「まあ水さえとっておけばいいけど…」


「あ、そもそも僕達スマホで連絡すればいいじゃん」


「俺スマホの充電0%だぜ」


「頼れるのは僕のスマホだけだけど…どうだろう」


電源をつけて、ロックを解除して、


MINEを開く。


まあ親の名前はないので、


友達のアイコンをタップして。


『今学校に閉じ込められた』


『たすけて(´・ω・`)』


と送る。


「お前よく絵文字使うよな」


「だって、その方が気持ちが伝わるでしょ?」


「たすけてって送る時に絵文字は使わない方がよくないか?」


「え、そうなの?ていうかこれ顔文字ね」


と。


そこで友達から送られてきた文章は。


『そういう文章はエイプリルフールだけにしとけ』


『本気だと思われるだろ』


だった。


達也くんと僕は、顔を見合わせて。





「「本気なんだよ!!!」」





と叫んだ。


これも、誰もいないから出来ることであり、


親友といるから出来ることであるなあと思いながら、


力いっぱいに叫んだ。


__本当に今日は散々な一日だ、はあ。

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