第16話閑話休題

夢見ヶ丘のとある学園の一角で多くの反乱生徒イレギュラーが雪崩のように攻め寄せていた

その反乱生徒イレギュラー達を一人の少女が迎え討つ為に出撃していた

ふっくらした頬と整った顔立ち、そして髪の毛一本も生えていない無毛の頭スキンヘッド、彼女こそ無毛の戦乙女ヴァルキリアと呼ばれる凄腕の夢学生徒イレギュラーハンターである

「いいね、敵は多いほうが楽しめる」

圧倒的大軍にも臆することなく胸の谷間から銀色に輝く杖を取り出す、これこそが彼女の無毛スキンヘッド属性を具象化した愛杖剃刀杖ブリューナクである

「ようこそ髪無き無毛の大地ラグナロクへ」

突如広がる無毛の大地ホライゾン反乱生徒イレギュラーを呑み込んで草木も生えぬ無毛の荒野ラグナロクへと誘う

「これは、固有領域イマジナルワールドか?」

生徒ハンターの中には、己の妄想を具現化して自身の領域を造る者がいる、しかしそれはあくまで結界のようなモノでありここまで広大ではない

「領域なんてちっぽけなモノと一緒にしないでよ、これは妄想世界ファンタジーワールド、結界や領域に閉じ込めたりしない、世界に新しい世界を上書きしているのさ」

それはすなわち彼女の思い描く妄想を異世界へと昇華して相手を取り込む、正に一部の生徒ハンターしか出来ない御業の一つである


その頃ギア達は学園各地を制圧して自軍の拠点に変えていた、それと共にエネルギーの汲み上げや資源の採掘を各学園で行っていた

休眠ステイシスポットの回収が終わったわよ?」

ギアの後ろから薄い緑髪をポニーテールにした少女が報告に来た

彼女の名はチカ、ガーベラ同様アンデッドゴーレムという屍を材料に生まれた吸血種ヴァンパイアタイプ不死怪物アンデッドである、それと同時に彼女は超一流の人造種製作者ゴーレムクラフターでもある

「ご苦労様ですチカ、休眠ステイシスポットの様子はどうですか?」

休眠ステイシスポットとは生徒の素体プロトフォームと呼ばれる完全な生徒になる前の素体を保護する為の防護カプセルである

休眠ステイシスポットに眠る生徒の素体プロトフォーム達に生物や機械等の情報をインプットすることでその特性を秘めた生徒を作り出すことができる

「異常なし、いつでも起動できるわよ」

「それは良かった、これで新たな生徒を量産出来ますね」

休眠ステイシスポットの敵味方の識別コードを操作することで特性を持たせて目覚めさせた生徒達を自分達の陣営に引き込むことが可能なのである

それは多くの休眠ステイシスポットを手に入れ生徒を目覚めさせた陣営の兵力が増強されることを意味している

「それと、【氷結候】はどうでしたか?」

「ああ、あの子ねぇ」

含みのある眼差しをギアに向ける

「新顔にしては高階悌の魔術を操るじゃない、一体何処に潜伏していたの?」

彼女が疑問に思うのも無理はない、高位の階悌の魔術を使えるということはとても長く生きていないと説明がつかない

階悌は神秘の強さで決まる、そして神秘は古ければ古い程に強くなる、逆説的に高位の階悌の魔術を使用可能な【氷結候】もまた長く雌伏の時を過ごした古株ということになる

「さて、大方何処からか漂流ながされて来た方かと」

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