再会


 雄大たちは、メイルンストリートを東に抜けて住宅地の方に向かった。方向的にはきのうスムルと一緒に歩いた方だった。


 途中関所の方に向かう矢印看板が出ていたが、そちらの方には曲がらずまだ進む。


 A棟からはすでに25分くらい歩いていた。


「…でよ。何であんたも付いて来てんだよ」


 ライアンがジェフの方を見る。


「せっかくの休みを、寝てばっかりで過ごしたらもったいないだろ。たまには体を動かさないとな!」


「さっき、あんたゆっくり寝たいって言っていたじゃねえか!」


「ねえ、あんたらの仲がどうか分かんないけどさ、人数多い方がバスケも楽しいんじゃない?」


 2人の会話を聞いていたエレナが言う。


「さすが! エレナさん!」と、ジェフがエレナの横に近づいていった。

 

 雄大と小松は輪の後ろの方で、その一部始終を見ていた。


「ジェフって分かりやすいですよね」と、小松。


「そうだな」と、雄大は返事した。



「着いたよ」


 リタがみんなの方を振り返って言った。



 目の前には『セイルトンパーク』という広い公園がある。


 敷地の中に池と雑木林があり、雄大はそれを見て、東京・吉祥寺きちじょうじにある『井の頭恩賜いのかしらおんし公園』と似ているなと思った。


 

 リタの先導で歩いていくと、バスケットゴールが両側にあるコートに着いた。


 すでに先約が居て、ゲームが進行中だった。

 

 雄大と小松がコートに近づいていくと、そこには見知った顔があった。


 ゲームには参加せずにコートの外側で見ていた彼が、2人に気づいて手を振ってくれた。


「よお! 雄大、颯人! 昨日ぶりだな!」


「スムル!?」

 

 雄大と小松は、彼に 駆け寄った。


「まさか、昨日の今日でまた会えるなんて。スムルはここでよくバスケしてるの?」と雄大。


「ああ、よく集まって『キマイラ』の奴らとやってるよ」


「そうなんだ」


「昨日のご飯屋はどうだった? 料理は口に合ったか?」


「美味しかったで⋯あ、美味しかったよ」 


 小松はタメ口に直しながら答えた。


「だろ! あの店は何でも美味いんだよ〜」


 そんな会話を3人でしていたら、いつの間にかゲームが終了していた。



 雄大たちから少し離れた場所には、ライアンとディエゴの姿が。

 

 彼らも知った顔が居たのか、コートからこちらに戻る途中の2人組に話しかけていた。


「タクノ、バヤハ、お前らの知り合いかー?」


 スムルは、やや大きい声でその2人に聞いた。


「きのうこいつらが町の不良どもに絡まれててさ、多勢に無勢だったからオレたちが加勢したんだよ」


「そうか、よくやった! それでこそキマイラのメンバーだぜ!」


 スムルは、上機嫌になった。


「しかし、マジできのうは助かった。向こうは7人居たけど、あんたらが居てくれたおかげで4人でもぶっ飛ばせたぜ。マジでこの2人、強かったよなぁ」


 ディエゴが「うん」と1回頷いた。


(まさか2人までスムルの仲間に助けられていたなんて)


 雄大は感動を覚えた。



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