管理人の男・3
すし詰め状態の車内。
雄大は、運良く出入口に近い窓側の後部座席に坐れたが、あぶれた5名は床に坐っていた。
リタとビンは、前の席だ。
車はときどき整備されていない道を通るようで、ガタガタと揺れていた。
車内は、1人を除いて誰も喋っていない。
「なあ! 俺はレイモンドって言ってよー」
車内中にビリビリと響き渡る大声に、皆が不快な思いをした。
隣りに坐った、この『レイモンド』という肥った白人男性のマナーは、最悪だ。
彼は、肥っているにもかかわらず脚を広げ、雄大のスペースをぐいぐいと占領してきた。
雄大の反対隣りの白人男性に、
「別に余裕じゃねぇーか。徴兵だとかよー、どうせすぐ帰れるだろー」と、一方的に話しかけ、困らせていた。
不意にレイモンドが「カッハッハッハ!!」と爆笑する。
不快になって眉間に皺を寄せると、同じタイミングでリタが舌打ちし、「おい!」と感情をぶつけた。
レイモンドは、それにビクつき、すぐ黙った。
(リタ、ナイス!)
心の中で呟き、気分転換に窓の外に目をやった。
車は、ちょうど平地のひらけた場所を走行中で、遥か南南東には、塔のような建造物がそびえ立っている。
(何だ、あのデカいのは……)
雄大は、息を飲んだ。
その建造物は神々しい光に覆われており、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます