第五話:唄羽、奥多摩の地で初陣を飾る語[2040/4/8(日)]
それは深夜の事だった。
日付が変わる間際、唄羽は布団に入り目を閉じた。
カンカンカンカンカンカンカンカン!
その瞬間、
「モノノケ、ですか」
「そうみたいだな」
唄羽は部屋から飛び出してきた清森と合流する、
土蔵横の半鐘は霊力を込めて鍛えられた鋼――『
屋敷に緊張が走る。唄羽と清森以外は、すでに身支度を整えていた。
「……ここから近いな」
守ノ神が真っ黒な小刀を
この
「私と桜子は先に行く」
「二人で対処できそうだったら連絡するから。よろしくね」
そう言って
屋敷の広間には唄羽と清森が残される。
「唄羽、
「はい。持ってます」
清森に言われて唄羽は
「よし。じゃあ守護刀をこう、こんな感じで持って……と」
清森が守護刀を両手で握り、胸元で構える。
「……『祖より下りて
口上を名乗り終わると、清森は眩い光をまとう。
光が収まると、清森は調伏
赤い
足には黒い
顔は
「これがモノノケ調伏
「は、はいっ。やってみますっ」
唄羽も京都にいた時に、母や叔母の蓮から調伏の手順などは一通り教わっていた。が、実戦で使うのはこれが初めてだ。
「そ、『祖より下りて……』」
唄羽は緊張した面持ちで口上を名乗った。口上に呼応して、
「できましたっ」
「よし、行こう」
二人を待っていた
「じゃ、ついてきて」
武は山の木々の間を、まるで瞬間移動するように移動していく。
この移動法は『
「早う行きましょう!」
とん、とん、とん。三本の放物線が規則正しく夜の闇を縫う。向かう先は山の麓。ここへ来る道中に見えた田園地帯だ。
彼らの長い夜が始まろうとしている。
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