第6話4月2日②
「まさかリコリスがそこまでの魅了の使い手だったとはなぁ」
「いえ、私じゃなくてアルス様のブーストのお陰ですからね」
「やっぱりそうなる?」
「そうなります」
「そろそろ話を聞いてもよいじゃろうか?」
「あ、はい、すみません。大丈夫です」
現実逃避はそろそろお終いみたいだ。
現在、俺達は学園長室にお邪魔している。
前代未聞の戦闘で色々と話を聞きたいのだそうだ。
とは言っても。
「では、アルス君の精力によるブーストがリコリス嬢の魅了を押し上げた結果、無機物であるミスリルゴーレムに効いた、と」
「はい」
「実際に見ていなければ到底信じられん話だなぁ」
「そう仰られましても」
「いや、すまん。責めているわけではないのだ。どう処理をしようかと思ってな。報告しても信じてもらえるかどうか……。愚痴になってしまったな。重ねてすまない」
「いえ、お気持ちお察しします」
「まぁ……学園としてはアルス君が学内ランキング戦において、殿堂入りというのは覆らんので安心して欲しい。さしあたっては何か要望はあったりするかね?」
「いえ、突然のことでしたので今は特に」
「そうじゃよなぁ……。まぁ何かあったら気軽にここに来るといい」
「分かりました。ありがとうございました。それでは失礼します」
ふぅ……緊張した。緊張しすぎて、早口で出て来てしまったが失礼になってないだろうか?
とりあえず、学内ランキング戦上位入りという当座の目標は達成してしまったわけだけど。
これから何をすればいいのだろうか?
「アルス様やりましたね!本戦が始まる前から一抜けですよ!」
「そうだね。これもリコリスのおかげだよ」
「何を仰いますか!アルス様のお力あればこそです!」
「それでもリコリスが行けるって判断してくれたおかげだよ」
「むぅ……じゃあ受け取っておきます」
「ありがとうリコリス」
ちょうど撫でやすい位置に頭が来たので撫でておく。
リコリスはどうやら撫でられるのが好きなようで、ご満悦そうな顔をしてくれる。
決して誤魔化しているわけではないのだ。
「あっ、アルス君ここに居たんですね!」
「ローナ先生。どうかされたんですか?」
「そりゃあそうでしょ!いきなり殿堂入りだよ!私すごくびっくりしたんだからね!」
「なにせ審判でしたしね」
「そうだよ!しばらく唖然としちゃったんだから!」
「学園長を呼んじゃう程ですもんね」
「本当だよ!もうどうしたらいいか頭の中真っ白だったよ!」
「落ち着かれました?」
「全然!」
「ですよね」
「さぁさぁ皆待ってるから行くよ!」
「皆ですか?それとどこへ?」
「先生方みんな!職員室!」
「はーい」
まだ聞き取りは終わらなそうだ。
手を離したら、まだ物欲しそうな顔をしているリコリス。
続きは後でね。
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