第18話 平和な町巡り

 翌日。

 俺たち三人は再びリゾムを訪れた。

 ただし、今回は冒険者ギルドへは寄らず、純粋に町の観光へやってきたのだ。俺は何度な足を運んでいるので特にこれといって目新しさはないのだが、ミレインとメルファは違う。


「まずはあっちの看板が可愛らしいお店に行きましょう!」

「向こうの人形屋さんも捨てがたい」

「ですね! ああもう! どこから寄ればいいのか悩みます!」


 めちゃくちゃテンション高いな、おい。

 まあ、これまで救世主パーティーの一員としてあちこち回ったが……今こうして思い返してみると常に戦いばかりだったな。それが使命だったからと気にかけず、ミレイン自身もそういった類の見せに関心を示さなかった。


 ――だが、そこはやはり年頃の女性。

 あの時は救世主になるという強い目的意識があったからグッとこらえていたのだろう。しかし、今はその重責から解き放たれ、自分の気持ちを好きに発せられる。彼女にとっては今の方が環境的に望ましいのかもな。


 若者たちのパワフルさに驚いていると、


「おっ? デレクか?」


 偶然、ギルドマスターであるライソンと出くわした。


「今日はオフかい?」

「ああ。若い子たちの店巡りに付き合っているんだ」

「ははは。ミレインはともかく、メルファはどちらかというと娘って感じだな」


 それは俺も思っていた。

 あれくらいの年の娘がいてもおかしくはないんだよなぁ……なんというか、複雑な気持ちになっちまうよ。

 これ以上考えるとさらに気持ちが沈みそうなので話題を変えるとしよう。


「おまえこそどうしたんだ? ギルドの仕事はお休みか?」

「いや、今日は別件でな。これから騎士団の人と会うんだ」

「騎士団? それはまたどういう――」

「そうだ! おまえも来てくれないか? 実際にあの連中をぶちのめしたおまえがいてくれたら説得力も増す!」

「えっ?」


 なんだか話が変な方向に進んでいるな……というか、騎士団との用事って一体何なんだ?


「参加するのは別に構わないが、騎士団と何を話そうっていうんだ?」

「実は……この町に正規の自警団を作ろうって話になってな」


 自警団、か。

 これだけ大きな町だから何も手段を講じていなかったわけじゃないとは思うが、改めて見直すってことなのかな。


 だが、騎士団が絡むとなると以前より本格的な組織となりそうだ。

 ……純粋に興味があるな。

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