小説を読まない小説書きの鬱屈

 理由は不明ですが、昨夜ぐらいから気分がたいへんに落ちています。

 ネガティブなことを延々ぐるぐる考える、Twitterで流れてくる創作論が自分への攻撃に思える……など、二次創作時代末期の抑鬱状態がちょうどこんな感じだったな……と思い起こすほどの悪循環状態なのですが。

 暑さや気候の他に、このところ創作上で引っかかりが多々発生していることもあり、気分向上のために吐き出しがてら整理してみようと思った次第です。


 現状の引っかかり、最大のものは以下です。



「自分、なんで小説読まないのに小説書きになろうとしてるんだっけ?」



 きっかけは、先日地元のイオンに買い物へ行ったことでした。

 建物内にテナントの小さな書店があったので、なんとなく覗いてみたのですが、そこで強い衝撃を受けまして。


 並んでいる本の表紙背表紙POP等を眺めていても、ひとかけらの関心も湧かなかったんですよね……。


 現在の私は商業小説をほとんど読まないのですが(理由や経緯はエッセイ「UNSEEN ENTITY/しょうたいふめいのそんざい https://kakuyomu.jp/works/16818023211831806763 」に書いたので、関心ある方はそちらをどうぞ)それを前提としても、本当に驚くほど何も感じなかった。

 ラノベの棚にも一般小説の棚にも、芥川賞とか本屋大賞とか書いてあるPOP付の平積みにも、手に取ってみたいと思える本が1冊もなかった。

 実用書の棚も、どぎつい下品な宣伝文句が帯に踊る本しかなく、うんざりはしても、読んでみたい気にはまったくならない。

 好きの反対は無関心とはよく言われることですが、自分、ここまで本に関心なかったんだ……と心から驚きました。


 中高生の頃を思い出すと、本当に自分は別人になってしまったなあと一抹の虚しさも感じました。

 先述のエッセイにも少し書きましたが、当時は暇さえあれば本屋や図書室や図書館に入り浸ってましたから……「図書館で勉強する」という話を聞いて「あれだけ読む本がたくさんあるのに、なんでそっち放っておいて勉強なんてできるん!?」と本気で思ってましたからね……。

 受験生の頃の笑い話ですが、予備校の冬季合宿に参加すべく大阪の親類の家にしばらく泊めてもらっていたことがあります(※地方民なので)。予備校は梅田だったんですが、講習の初日、帰りに紀伊国屋書店梅田店に寄って、時間を忘れて立ち読みしてしまいまして……心配した親類が書店に連絡し、店内放送で呼び出しをくらってしまいました。

 この話の最大のポイントは、私は「帰りに紀伊国屋書店へ寄るとは、事前には誰にも一言も言っていなかった」点です。それだけ行動パターンが読まれてたってことですね……。



 ともあれそんな現状なので、このところやたらとTwitterで流れてくる「小説が書きたいなら小説を大量に読め」的言説が、気分が沈んでいる時は自分への攻撃に聞こえて仕方ないのです。

 50冊100冊読めとか、色々な理由付けながら殴ってくるツイートがほんと多くて、そのたびに気分がささくれています。

 ただ、ささくれは気分が沈んでいる時の一時的なものだとしても、根本の問い「なんで商業小説に興味ないのに商業小説の書き手になろうとしてるんだっけ」については有効な答えが自分で見つけられずにいます。


 第一の理由は「お金が欲しいから」次いで「自作を可能なかぎり良い形にしたいから」、で間違いはないです。

 小説を書くのはとても好きなので、かつ他の方々と協業して自作を良くしていく作業も好きなので(有償講評をお願いして、指摘事項を手直ししていくのはとても充実した作業です)、それらを換金できればより長い時間好きな作業に時間を割けるなあ、というのが元々の理由でした。


 ただこのところ強く思うのは、私には「小説を好んで読む人々」の感じ方考え方がまるでわからない……ということですね……。

 書店の店頭を見ても、SNSで流れてくる宣伝ツイート・ポストを見ても、全然興味が湧かない。読んでみても(公募の参考用に過去受賞作を読むことがたまにあります)まるで面白いと思えない。

 あまりにも小説に興味関心がなさすぎて、小説を好んで読む人たちとは感性に何か決定的な断絶があるのだろう、と思わざるを得ない状況です。


 ただ、小説を読むのは、あたりまえですが小説を好んで読む方々なんですよね……。

 自分の制作物を送り出す相手のことがまったく理解できない状態で、なにかを制作してどうするんだろう、とはしばしば考えます。



 このまま先へ進んでいいんだろうか、何か決定的なところで間違いがあるんじゃないだろうか。

 そんな危惧がずっとあります。

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