優秀な偵察者14
深夜ということで道も空いており、例の中学校へは、すぐに着いた。
大通りから小道を入った所に正門があり、そこに車を停める。わたし達が車から降りると同時に、空舞さんは門の上に降り立った。
「あれ?空舞さん、今着いたんですか?」
「あんまり遅いから、先に中を確認しに行ってたのよ」
これでもだいぶ早いほうだと思うが、空を一直線に来れる空舞さんには敵わない。
「それで、いたか?」
「いえ、今のところ姿は確認出来てないわ」
「とりあえず、中に入りましょうか」
当たり前だが、門はしっかりと閉まっている。「・・・あの、これって普通に不法侵入になりますよね」
「そうね。まあ、こればっかりは仕方がないわ」
急にドキドキしてきた。誰にも見つかりませんように。
最初に、瀬野さんが門を越える。
「雪音ちゃん、いける?」
「わざと聞いてます?」自分より背の低い門に足を掛け、ヒョイと飛び越える。次に空舞さんがわたしの肩に移動した。
「ま、一応ね」早坂さんは足も掛けず、片手で飛び越えた。負けた。
門を過ぎて右手に校舎、左手にグラウンドがある。道路沿いの街頭、周りには家やマンションが建っている為、ライトが必要な暗さではない。逆に言えば、誰かに見つかる可能性も高いということだ。
グランウドまで移動したが、空舞さんの言う通り、上空にそれらしきモノはいない。
「懐かしいわ〜、学校のグラウンドなんて何年振りかしら」
「そりゃあそうだろう。卒業したら来る事なんてないしな」
「アンタ、体育の時、端っこのほうでよく寝てたわよね」
「・・・お前にだけは言われたくないがな」
「あら、あたしは真面目に受けてたわよ」
「体育だけだろ。他の授業はほぼ寝てただろうが」
「そうだっけ?」
「・・・中学の時の話ですか?」
早坂さんはポケットに手を入れたまま上を見て、考え込んだ。「高校も大して変わんないわね。寝てた記憶しかないわ」
授業中、机に突っ伏して寝ている早坂さんを想像すると、おかしくなった。「勉強、嫌いでした?」
「そうねえ、カンニング出来る妖怪がいないか本気で探そうと思った事があるわ」
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