第65話ミスタードクロとのダイス勝負

サイはなげられた。

ぐるりとガイコツ兵が取り囲む中、ここを抜け出したくば勝負に勝てというむちゃくちゃな注文をつけられ、ラビィは逃げ場がなかった。

ガイコツ兵には銃も効かない。

負けたら銃をとりあげられて、往生を鎖でつながれている人たちと一緒に鉱山で奴隷の様な重労働だ。

でも勝ったら、あのミスタードクロの指にしているダイヤの指輪がもらえる。

負けたら手錠や牢屋よりひどいけれど、なによりダイヤの指輪は鉱山や労働者の権利証だそうなのだ。勝ったらここを抜け出せる上に、鎖でつながれた重労働の人たちを助けられるかもしれない。

サイの目はでた。ミスタードクロの数字は5と6だ。勝つには上の目をださなければいけない。

まわりのガイコツ兵が歓声を上げる。

ミスタードクロが大きな手で満足げにそれをおさめた。

「私はね、この勝負強さで今この椅子でくつろいでいられる。さて君の番だがね。」

ラビィはひるみかけた。

その時いきなりラビィは銃の弾6発のうち1発をぬいて弾倉をルーレットし、片耳に向けて引き金を引いた。

まわりは驚嘆の声をあげた。

・・・発弾されなかった。

この感覚だ。ラビィは思った。

こんなことをするのはわざわざけがをするためではない。気合いをいれるためだった。

旅のパートナーの銃をラビィは知り尽くしている。今ので勝負のカンがついたと思った。ダイスをパートナーだと思えば良い。

ラビィはサイを振り、投げた。

コロコロくるくるとダイスは回転し、いたずらっぽくふるまった。

「言うことを聞くんだ。」ミスタードクロはそう念じただろう。

でもラビィは、「君はダンスがうまいね、さあぼくの言ったようにおどってみて。」そう念じた。

「二回転がって6と。」一つ目のダイスが転がり終わって6。

ラビィは強気にいった。

「君を信じて任せるよ、何度かまわって6だ。」

二つ目のダイスの回転がくるくるとながびいた。

まわりは息をのむ。

出た目は6だった。

ミスタードクロは身動きとれないままくわえている葉巻タバコをポトリと落とした。

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