プロ選手との練習3

 プロ選手との練習当日。


 今日は市内にあるスポーツセンターを1日貸し切り、プロ選手との練習を行う。


 当日まで誰が来るのか知らされていない。


 俺はワクワクしていた。


 誰が来るのかわからないから、余計にワクワクしているのかもしれない。


 俺たち城伯高校は、早めにスポーツセンターに行き、準備していた。


 いつものルーティーンで、ウォーミングアップと基礎練習を予め行う。


 体を温めておき、すぐに体が動くように。


 ちょっと動くだけで暑くなってくる、そんな季節になってきた。


 ちょうどウォーミングアップが終わった頃に、プロ選手がやってくる。


 プロ選手の姿を見て、俺たちは絶句した。


 なんと、千葉レッドブルーというBリーグのチーム。それも日本一のチームだ。


 そのプロ選手チームと一緒に練習をする。


 俺は手の震えが止まらなかった。


 こんな凄い人と練習できるのかという興奮が、さらにワクワク感を倍増させた。


「まさか……」


 俺以上に興奮していたのは美香だ。


 美香は千葉レッドブルーのファンだ。特に並木裕翔なみきゆうとという選手を応援している。


「うわぁ、うっそ!あとでサインもらいたいー!」


 美香は大はしゃぎだ。


 並木選手はスピードとスリーポイントを武器とするポイントガード。


 日本でこんなに凄いポイントガードはいない。当然のことながら、日本代表にも何度も選ばれている。


 バスケを知らない人でも、報道で並木選手のことは多く知られているくらいだ。


 未だに信じられないな。そんな選手が目の前にいる。


 さらに千葉レッドブルーから4人の選手が来てくれた。


 ドライブすることが得意なスモールフォワード、依田正人よだまさと選手。


 スリーポイントを得意とするシューティングガード、笹本幸弘ささもとゆきひろ選手。


 ゴール下のリバウンドとシュートを得意とするパワーフォード、相内哲也あいないてつや選手。


 センターだけど、スリーポイントやゴール下、ミドルと、マルチにシュートが打てる黒崎誠くろさきまこと選手。


 どの選手も日本を背負う選手だ。


 こんなこと夢みたいだ。夢じゃないよな……


 千葉レッドブルーの選手たちが俺たちのほうへとやってくる。


 やっぱり本物だ!


 日本を代表する選手を呼んでくるなんて、高宮コーチ凄すぎ。


 高校バスケ部にプロの選手を呼べるのは、強豪校だけだと思っていた。


 それも、強豪校のお金のある私立高校ならわかるけど。


「今日はよろしく頼むよ」


 高宮コーチが千葉レッドブルーの選手に挨拶した。


「高宮コーチのお願いなら聞きますよ」


 並木選手が笑顔で答えた。


「あっ、皆はBリーグの選手として知っていると思うけど、全員、教え子だから。日本代表候補のときのな」


 高宮コーチの衝撃の告白に、俺たちは目を見合わせた。


「えぇ!?」


 俺は思わず声を上げてしまった。


 高宮コーチの教え子なのか。


 高宮コーチってやっぱり凄いなぁ。


 ますます興奮してきた。


 どんな練習なのか、楽しみだ。

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