全員集合

「で、これはどういう状況なんだっけ?」

「俺たちこういう状況とは聞いてないぞ。」

「ま、なんとなく気が付いてはいたんだけどな。そういうことだったとはな。」

「私にも教えてください。今これどういう状況ですか?」


僕の部屋には荷物をかかえて集まった大学生男女7人が勢ぞろいしている。それなりに広い部屋だったつもりだが、みんなからの圧がすごい。


「えーっと、どこから話そうかな……。こちら西浦奏奈さんで、こちら僕の所属してるバンドのメンバーで横木と高岡と……。」


「そういうことじゃないです。」

「そういうことじゃないだろ。」


「ごめんごめん。順を追って説明するよ。まず、僕はもう既に10回以上、5月3日を繰り返しているんだ。さっき話したように、タイムリープしてるんだよね。」

「いや、それは分かったけど、西浦さんがここにいるのは何?しかもお泊りセット持ってきてないか?」田中が割って入る。

「あ、いや、それは、途中で西浦さんも僕と一緒にタイムリープに巻き込まれたんだよね。」

「それはそうなんですけど、どうして先輩たちを急に誘うことになったんですか?」今度は西浦さんだ。

「あ、いや、それは、これからどうしようと思っているところに、高岡から電話かかってきて、そういえば情報工学専攻だったから助けてもらえないかと……。」

「情工が助けるってどういうことだよ?」高岡が遮る。

「あ、いや、それは、タイムリープしているのは実は人類滅亡を防ぐためで……」


これまでのあらすじを伝えるだけで1時間以上も使ってしまった。でも、ひとまず全員に情報共有ができた。多分、目的意識の共有もできた……はず。


「で、これからどうすればいいんだ?」高岡が質問する。

「とにかく、一度研究所に行って僕と一緒にプログラムを見てもらいたい。ソフトの書き換えの問題だけじゃなくて、それ以外に何ができるか、みんなの知恵を集めれば良いアイディアが出るんじゃないかと思うんだ。」

「良いアイディアって言ったって……。俺らみんな学生だぞ。」木村がなんとも言えない不安な顔で答える。

「でも、父さんは大人の仲間を集められなかったんだ。僕たちだけでやれることを探さないと。」

「わかった。行ってみよう。でも最初からそうと言ってくれれば教科書とかノートもて来たのに。ま、役に立つかわからないけどさ。」杉下が答える。杉下はこういう時、いつもなんだかポジティブな感じで前に進めてくれるタイプなんだ。とてもありがたい。


「よし、じゃあみんなで出発しよう。」



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