信用を得るために
『でもさ、本当にタイムリープしてるんだったら、なんか証拠を見せて欲しい。』
「え?証拠?」
未来から来てるなら何か示せるはずだと思うのは当たり前だ。ただ、西浦さんのときもそうだったが、結局新聞もテレビのニュースも見てないので今日起こることを残念ながら把握していない。
唯一使えたゲリラライブの件はもう時間的には遅すぎて使えない。どうしたものか。今後のためにコンビニで夕刊を買うことにしようかな。とりあえず、時事ネタがないとするとこれしかないか。
「あ、そういえば、もう部屋に入ってるんでしょ?隣の部屋に、6人組がいるはず。」
『そんなの勘でも当たりそうな気がするけど。』
「そいつらは金髪の男3人と、ギャルっぽい女3人のグループで、しかも一人は今日誕生日なんだ。」
『ちょっと見てくるわ。でも、誕生日って聞けばいいのか?』
「あ、いや、誕生日の件は色々あるから聞かなくていい。しかも機嫌よくないかもしれないからこっそり覗くだけでいい。」
しばらくの間ののち向こう側が騒がしくなった。
『おい、本当に穂高の言うように6人組だったぞ。誕生日は知らんけど。』
「ほらね。タイムリープする前の回はみんなと一緒にカラオケ行ってたんだよ。」
『うーん、確かに、仕込みじゃなければ正しい気もするな。穂高にあのタイプの知り合いがいるとも思えないし。』
「しかも、高岡は青っぽいチェックのシャツ、横木はライブのときに良く着てるダメージジーンズ着てるでしょ。で、田中は今日はメガネじゃなくてコンタクトで来てるでしょ?」
『え?やば。お前こっち来てるの?』
「いや、家だよ。だから、タイムリープしてるからわかるんだって。」
カメラをオンにしてこちらの背景を映す。僕の家にはみんな来たことあるからここが僕の家であることはわかるはずだ。
『本当だ。誰か穂高に伝えたわけじゃないよな?』
『いや、誰も……。』
とんだけ、疑り深いんだ。突拍子も無いことを言ってるのはこちらだから仕方ないといえば仕方ないが。
「とにかく、信じてくれたなら、今から僕の家に来てもらえない?みんなで。できれば少しあったかめの着替えを持って来てくれると嬉しいんだけど。」
『着替え?どういうこと?』
「後で全部説明するから。」
『わかった。でも今入れてる曲だけ歌ってからでもいい?フリータイムキャンセルできるか聞いてくるわ。』
「なんでもいいよ。でも早めに頼む。」
『わかった。』
これで、仲間集めは完璧だ。西浦さんにも僕の家にいったん来てもらうようにお願いしよう。
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