第4話 勇者、現る!
慣れてきた。
ミクを世話するのも慣れてきた。
「あ〜、退屈だな」
「今日もこの作業終わったな。これで家に戻ろう」
「お帰りなさいませ。ご主人様! 今日のご飯は何にしましょう?」
「じゃぁ、すき焼きにしといて。その前に俺は温泉入ってくるわ」
俺は橙色の温泉に入ったのであった。
「あぁ〜気持ちいい〜!」
その後、サウナに入り水風呂にも入ると用意されていたすき焼きを食べた。
美味しい、このお肉。
獣の肉だろうか?
牛肉ではない。
豚肉でもない。
なんの肉だろう?
俺はついメイド様になんの肉を使っているのか聞いた。
「あ〜、これ? 猫系獣人の肉だよ」
猫系獣人? ミクと同じ?
でも、一つ気になったことがあった。
「猫系獣人ってこの世界に二体しかいないんじゃないの?」
「そう、そのミクともう一体を殺してすき焼きの肉にしたんだよ」
「それは、ご馳走だ」
美味い。
それに結構、食べることができる。
俺は一瞬で、すき焼きの肉を全て食べ終わった。
残りは豆腐と野菜だけになったのでうどんを入れ、食べることにした。
「やっぱうどんは美味しいな」
それから、数分が経ち俺は朝のミクの世話に向かった。
「よし、行こうか」
しかし、ミクのところには誰かいた。
え、女の子?
その女の子はミクのお世話をしてくれていた。
「あ、ごめん! 勝手に世話をしないで」
普通の猫系獣人のお世話であれば誰でも任せることができるのだが、ミクにはニンジンアレルギーがある。
それを分からずにお世話をすると、下痢をしてしまうのだ。
「世話をしないで!」
だが、ミクは平気そうな顔でいた。
もうお世話はされたようなのだが、平気であった。
「今日は、ニンジン抜いたの?」
俺は聞くと、そこにいた女の子が答えてくれた。
「家、行ってもいい?」
それにいいよなんて答えると俺はその女の子を入れた。
女の子を自分の家に入れるといってもこの子のことをまだよく知らない。
その段階から家に入ってしまっていいのか、なんて疑問はあるけれど俺は「とにかく
入れる」男性ならこの方法を取った。
まだ、この段階では「好き」という気持ちではないが、手段として家に入れた。
「じゃぁ、家に入って」
「お帰りなさい、ご主人様! 今日は彼女様をお連れですか?」
「いや、彼女ではなくて友達だよ」
俺は、彼女を連れてクローゼットの前のスペースに向かった。そこが、リビングがわりなのでそこに連れて行ったのだ。
おにぎりを食べた。そこでメイド様が作ったおにぎりを食べた。
「これ、美味しいね。私、この三角の食べたことがなかったから」
「じゃぁ、何食べてたの?」
「チーズとか」
その女の子は、ゴルゴンゾーラなどのチーズを食べています。
「それにしても、いつもは何をして暮らしているの?」
俺はつい気になった。
彼女の職業。
それが何なのか?
職業を聞くと、あることが分かった。
「私は勇者なんです。動物のお世話は趣味でしているので何でもできるようになったんですよ」
なるほどね、普段は勇者で活動しているのか。
俺は、勇者というものが実在するとは思っていなかった。
架空の人物。
そして、架空の範囲で戦う人物。
これが俺の想像の勇者であった。
でも、勇者は実在した。
「勇者って何をするんですか?」
「それは、剣でモンスターを戦ったりするだけだよ」
「そうなんですか、それは興味深いですね」
「それはこうですか? こうですか?」
俺は、剣の振り方を聞いた。ところがそれは教えてくれなかった。
でも、なぜかよかった。
本当に剣を使っているのか?
そうとも思っていたが、勇者のため剣を使っている。俺はそう思っていた。
この時には、もう俺は完全に彼女に惚れていた。
見た目だけでなく中身も惚れていたのである。
次の日も勇者はやってきた。
「おい、やめろ!」
家の周りの木を大量に切っている。
それにアルトワさんが怒っているのだ。
当たり前だ。
ここは、彼の土地であるからである。
勇者オリヴィア!
暴れるのをやめなさい。
勇者の彼女は大剣に銃を持ち家の周りを切っていた。
まず、銃で威嚇しながら近くにいたネズミを逃す。
その後、木を切り終わった。
「お前、本当に何切っているんだ!」
アルトワさんの逆鱗の声がまた聞こえる。
「おい、なんでそこにいるんだ! 私は勇者禁止令を今出すことにする!」
「勇者禁止令?」
これで二度とここでは彼女と会えない。
もし、この条例を破れば檻に閉じ込められる。そして5年を過ごすことになる。
勇者禁止令が通じるのは、アルトワさんの敷地だけだ。
彼の敷地に入ってこなければ、何の問題もない。
次の日は流石に勇者オリヴィアは入ってこなかった。
その代わり、俺を遊園地に呼んで一緒に遊ぶことになった。
彼女もVRをしている普通の人間だ。
素がどんな人間かは分からないが、VR上では明るく接してくれている。
今回の遊園地も楽しく最後まで終わるだろう、そう思っていた。
しかし、今回の一日は普通の遊園地の一日とは違う一日になりそうなことが分かってしまった。
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