長所と短所

 さて、前ページまでで述べた Markdownを取り巻く闇のことは殆ど忘れ、実際に使うことを考えましょう。殆どと言ったのは短所でちらっと出てくる以上のことはありません。


 まず、 Markdownの長所と短所をリストアップしてみましょう。


 長所


 ・記法において記号が最低限しか使われておらず、ほとんどが視覚的に意味付けされている

 ・開くためのアプリが豊富で、 WEB ブラウザ上で開くための拡張機能も豊富

 ・ WEB 検索すれば多くの解説がある

 ・ HTML に変換する処理をアプリ側が担うため、(自分で独自記法を追加しようと思わなければ)表示するアプリ以外をインストールする必要がない


 短所


 ・オリジナルが標準化されていない

 ・標準化されたバージョンから逸脱した記法のバリエーションが多い

 ・肝心のカクヨムが対応していない

 ・英文を想定しているので、日本語で使う際に少しだけ注意が必要(後述)

 ・ WEB検索で引っかかるページのいくつかは、自分がどの方言を使っているのか明示しないまま書いてある


 最も嬉しい長所は、意味付けが視覚的な点でしょう。これによって学習コストもかなり抑えられており、 LaTeXでは諦めた書式紹介もこの文書中で紹介できるほどです(文学作品の執筆に使わないと思われるものについては省きますが)。


 また、たかだかブラウザの拡張機能程度でインストールが終わるのも嬉しいところです。


 一方で、自学自習とした場合には方言の乱立が痛いところです。特に、(おそらく)書いている側も調べないで何となく自分が使えているからで書いたような記事が雨後の筍の様に乱立しており、いざ自分の環境で見てみると想定通りに動かないこともままあります。


 私怨が少し漏れてしまいましたが、この文書中では CommonMarkに従った記法を用います。軽い資料を書くならばGFMのほうが便利なのですが、小説を書くような場合にはどちらでも変わらないので、仕様がはっきりしたCommonMarkを採用しました。


 また、日本語文書(つまりカクヨムに投稿するような小説)を書くときに注意しないといけないのは、間に空行のない改行です。


 Markdownは欧文を前提にしているので、


================


Hey pal!

I'll borrow

this driver.


Noooo!!!


|==============|


 Hey pal! I'll borrow this driver.


 Noooo!!!

================


 となり、改行部分に半角スペースが入ります(厳密にはCommonMarkでソフト改行とみなされます)。これは欧文を書く限りではタイピングを減らせるため非常に便利なのですが、同じことを邦文でやると、


================

何だよ、いきなり

叫んで?


そいつはデーモンコアだぞ!?


|==============|


 何だよ、いきなり 叫んで?


 そいつはデーモンコアだぞ!?

================


 となります。この場合の半角スペースは私達に不利に働くため、消えてもらうことが望ましいのですが、手作業で消すのも面倒かと思います(特に作中に英字が混ざっている場合は)。


 幸い、この日本語(2バイト文字)の間の改行に半角スペースを入れないようにする仕組みを備えたライブラリがあるのですが、全てのアプリが採用している訳ではありません。


 そのため、執筆した作品の投稿時にアプリに表示された文章をコピペしようと考えていらっしゃる方は、この点に注意してアプリを選んでください。


 参考までに筆者の使っている環境を述べておくと、 Google Chrome拡張機能のMarkdown Viewer [13] のパーサをMarkdown-itにしてcjk optionを有効にしています。ついでにCONTENTタブからautoreloadを有効にすると便利です(ただし、ローカルファイルの読み取りをChrome側から有効にする必要があります)。その他オプションの設定については WEB検索してください。

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