ビジンハクメイ
天気よき午前中。私こと小玉りおねは、ここ早置宅の縁側に座って、ひとり庭など眺めているところである。
なぜか、三徳にーさんより、アルバイト禁止令が。おまけに、あれから大学も休学とした為、うん…退屈なのよねー。
なら、せめて家事でもと思うんだけど、それも三徳にーさん開発の専用ロボットがやってくれてるんで、私の出る幕はナシ。
でも、UMAについての情熱は、一向に衰えず。学校へは行けずとも、いままで集めた資料のチェックや、ネットでの情報収集等は欠かさずにやってます。はい。
「おー、りおねー」
ふと見れば、背後の廊下から、三徳にーさんが現れた…っとと、誰か連れていると思えば、それはそれは、かつて大人だった頃の私に、大変よく似た御仁ではありませんか。
「な、なんで、私のそっくりさんが…」
ブラウスにパンツスタイル。よく見れば、背丈やプロポーションこそ少し違えど、その他は顔から髪型から、本当に彼女は私そっくりである。
「驚いたかい。実はこれ、ワタシが以前に開発した、AI搭載の女性型作業用ロボットに、大人のお前の顔を模して作ったフェイスカバーを、この通り頭部に装着した『りおねロボ』だ」
あ、なるほど。そうだったんですね。びっくりした。
「ハロー、ボンジュール、ナマステ、フ・ジャンボ」
お、さすがはAI搭載か。そのりおねロボが、4カ国語を駆使して、私に挨拶してきた。
うん、声まで私にそっくりの上、表情まで作れるのには驚きだわ。
「で、お前が元の姿に戻るまで、代わりにこれを大学へ通わせればいいと思ってさ。ちなみに、そこで行った研究や実験の内容は、このロボの脳内のスロットに、あらかじめSDカードを挿しておけば、その都度、取り出してパソコンで見ることが出来るぞよ」
がび〜んっ。な、なんたる優れモノ。三徳にーさんの発明品の中で、初めてマトモな物を見た気がするわさ。
「でだ、お前の話し方や所作なんかを録画したカードも、同じくスロットに挿し込んで記憶させれば、それで完成だ。身長やプロポーションの違いは、もう少し調整できると思う」
そっか。この前にーさんが長々と私の動画を撮ったのは、変態ロ〇コン趣味の為じゃなく、そういった理由からだったんだわ。あふ〜んっ。
「うんうんっ、分かった。三徳にーさん、ありがとうっ」
なんて、思わず私は三徳にーさんに抱きついて…しまったのが間違いだった。
こらこら、にーさん。どさくさ紛れに、私の髪を唇でハムハムするんじゃない。牛かっ…まったく。
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