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「で、ウチとしましては、そのりおねさんとは正式な契約をもって、こちらへ来て頂いたのでありんす。よって、もしどうしても連れて帰られるというなら、違約金を支払って頂くでごわす」
うぬぬ、どこ出身…なのかはさておき、違約金だと。
「ち、ちなみに、いかほどか」
ビビるな三徳。ワタシとて、(自称)偉大な発明家。お金なら、少しはあるからな。
「まあ、500万ほど頂いておきましょうか」
「ご、500万っ…」
つい、ワタシは声を上げてしまいました。無論、思いの外、高額だったからです。
でも、待てよ。貯金を崩した上で、いま製作中のロボワイフを、依頼主様に引き渡せば、その分のお金が…
え、どうしたんです、芹澤さん。
「では、これで…」
ややっ、そこで一歩踏み出したが芹澤さんが、その胸ポケットから札束を、1、2…さらに、大門さんまでもが…
かくして、計500万の札束を、彼ら2人がデューク斉藤氏とやらへ。
うーむ、もしかして、常にそんなもの持ち歩いているんでしょうかね。この芹澤さんたちは。
いずれにしても、デューク氏ときたら、あ然としてますわい。ぬははっ…
この場で500万ものお金が支払われようとは、よもや思ってもみなかったからでしょう。
「領収書は、小玉平蔵でお願いします」
あ、なるほど。りおねの父上ですね。
でも、そんなことして、同御仁にバレないんでしょーか。芹澤さん?
え、別件で使ったことにしておくんですか。500万円程度なら、なおさら追求されることもない? そーですか。それはそれは…
しかし、500万円『程度』などとは、やはりスケールが違います。りおねの父上は。
はてさて、その後カメラのフィルムと、ビデオのメモリーを回収。ぽかんっ、とスタッフ一同が見てくる中、我ら4名は、意気揚々と引き上げるのでした。
こらこら、りおね。んな手なんぞ振らんでいいから…まったく。
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