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「さあ、皆さんっ。もうその辺で終わりにして頂きましょう」


 サッシを開けて室内へ乗り込むと同時に、ワタシはスタッフ一同に向かって声を張りました。


 その両脇には、それぞれ芹澤氏と大門氏を。印籠こそ無くも、まるであの御老公状態でもって、です。


「あれ、三徳にーさん? それに、芹澤さんと大門さんまで…ひょっとして、見学に来たの」


 一同が、一斉にワタシたちに注目してくる中、ブリーフ男の上から下り下り、りおねが歩み寄ってきます。


「そうそう、よく似合ってるよ、アリスコスが…って、誰が見学に来るかい。さあ、りおね。帰るよ」


 そう言ってワタシが、りおねの手を取った時でした。


「ちょっと、お待ちくださいな。あなたは、どちら様でございますかな」


 高価そうなスーツに、くるりんヘア。やけに気取った感じの中年男が、スタッフの間から、一歩前に出てきました。


「ワタシは、この娘の保護者です。申し訳ないが、このまま彼女を連れて帰ります。こんな楽しい…いえ、いかがわしい撮影に、ウチの子を参加させる訳にはいきませんのでね」


「ほほう。ちなみに私は、この度りおねさんのマネージャーとなりました、デューク斉藤と申します」


 などと彼が、スーツの懐から名刺を差し出してきました。


 対してワタシは、


「これは、どうもご丁寧に」


 一応、その小さな長方形を受け取ります。


 それはそうと、もうマネージャーだなんて、りおねのヤツ。早くも彼らと、正式に契約済みってことか。


 やはり世間知らずのせいか、あるいは、少し『パー』になったというせいか。とにかく、『20歳以上』というにも、よく契約できたものです。いまの彼女の容姿で。


 まあ、合法ロ〇と考えれば、それなりに需要もあるからでしょうか。

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