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「な、なんなんだ、あの男の格好は…」
「パンツ一丁…ですね」
やっぱり。ワタシ同様、隣の芹澤さんの目にも、そう映るようです。
こりゃ、絶対に怪しいじゃありませんか。
そうなんです。いまスタッフたちの元へ歩み寄ってきた、その男ったら、ブリーフ一丁のみ身に着けた姿なんです。
正確に言えば、覆面レスラーのようなマスクも被っていますけどね。
で、そんな男を脇に撮影カメラマンが、小型のビデオカメラに持ち代えました。
よく見れば、他にも固定の同カメラが窺えます。
なるほど、今度は動画を撮るようですが…
でも、まだ乗り込むのは勿体ない…あいや、まだ早いと思われます。
もちろん、いかがわしい証拠を掴む意味で、です。他意はありません。ほんとーです。たぶん。
お、これまた監督らしき男の指示の下、あらためてりおねがソファに。また、あのブリーフ男が、その彼女の足元に跪きました。
いったい何が始まるんだ。ワクワク…もとい、ヒヤヒヤドキドキ。
と、我々が固唾を呑んで見守る中、なんのつもりかブリーフ男が、りおねの片足を手に取りました。
そして…そして、頬ずり…ぞぞっ。
こ、これは不気味。なれど、りおねときたら、くすぐったそうに笑いはしゃぐ始末。
いやはや、もしワタシがアレをしようものなら、おそらく以前のように右フックでも飛んでくるでしょうーに。
あれじゃワタシの方が、あのブリーフ男よりも気持ち悪いみたいじゃないか。
うおおっと、さらにそのブリーフめが、りおねの足を舐め回して…!
うぬぬ、それでも笑ってるぞ、りおねのヤツ。
あ、そーだよな。お金が貰えるから我慢してるだけだよな。そうさ、そうに決まってる。
とかってワタシが、自らに言い聞かせるうち、今度はその両足の裏でもってりおねが、ブリーフ男の頬を叩き出しました。
はい、もう間違いありません。それすなわち、『足(脚)フェチ』ビデオの撮影です。
しっかし、あのブリーフ男の嬉しそうなこと。顔はよく見えなくても、そのリアクションで分かります。
ともあれ、ひとしきり頬を打たれた後、ブリーフ男が床に仰向けに寝転びました。
次は、なにをする気だ。
と思えば、またもや監督らしきの指示の下、ブリーフ男の胸に乗ると共にりおねは、そのまま足踏み。初めはゆっくりと静かに、だが徐々に激しく。
どっこい、それだけならまだしも、じりじりと下っていくやりおねの足が、やがて男の禁断のゾーンへ…!
これはもう、よく目に焼き付けて…ではなく、乗り込むしかありませんっ。
「芹澤さんっ、大門さんっ…」
皆まで言わずとも、両者が頷きました。
この窓の鍵が開いているのは、あらかじめ確認済み。さあ、いよいよ突入ですっ。
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