5
さぁて、引っ越しも終わった翌日のこと。
レトロな和風平屋一戸建て。ここ早置宅は奥の一角に与えられた自室でもって、いま私は、2個のダンボール箱の前に座って、荷物の整理など行っているところである。
もともと、家具も荷物も多くなかったおかげで、より引っ越しはスムースに完了。しかも、こんな綺麗な部屋を貰えて…いやー、ありがたやありがたや。
でも、手放しで喜ぶ訳にも、ちといきません。
なぜなら、
「それにしても、よく集めたものだわね。こんなに」
そう、綺麗は綺麗でも、また別の意味も含有。この6畳ほどの部屋には、らしき美少女関連のポスターやらグッズやらが、整然かつ多数に亘って飾られているからだ。
「まあ、このJC子役と、あのアイドルの子くらいなら私も知ってるけど…」
ともあれ、ここが『空いている部屋』だった訳である。
確かに、これが空室と言えるのかどうかは微妙な感じだけど、とにかくこれらポスターやグッズを汚さない、という条件を守れば、あとは自由に使っていいそうだ。
しっかし、こうなると押入れでも開けた日には、いかがわしいロ〇ビデオの1つも出てくるのでは?
と、先ほど冗談混じりに、(でも半分本気で)三徳にーさんに尋ねてみれば、
『そういったものは持っていないぞ。なにせ、ワタシは正統派だからなー。まあ、無垢な花の蕾を愛でるようなものさ。いやっはっはっはーっ…』
だそうである。
正統派と邪道派の区別は、もちろん私には良く分からないが、まあ、こちとら居候の身。決して贅沢は言えませんので、黙って有り難く使わせて頂くとしましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます