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「…しかし、学校も門前払いの上に、このアパートまで追い出されるとは、ほんとエラいことになったなー」
三徳にーさんの用件はといえば、『久しぶりに顔を見に来ただけ』だったので、自然と話題は私の子供化に関してとなった。
「ほんと、困っちゃったわよ」
三徳にーさんと2人して、ローテーブルに。思わず、溜め息混じりの私である。
「じゃあ、よければウチに来なよ。部屋空いてるしさ」
「えっ、本当にっ?」
その朗報を耳に、ふと私は乗り出した。
「う、うんっ。と、特にその姿ならっ…あいや、とにかくウチへ来て、今後についてゆっくり考えればいいさ」
やっぱ鼻息が荒いのが気になるけど、これは願ってもない展開になってきたわい。
そうよね。なにがどうあれ三徳にーさんは、優しくて面倒見のイイ人…にしても、三徳にーさん。どさくさ紛れに、話しながら私の髪をツインテールに結ばないでくれますかね。まったく。
「よっしゃ、可愛く仕上がったぞ。ほんと昔のお前みたいだ」
こんなことで喜々とする28歳。ふ〜っ…
「もう、三徳にーさんったら、いつまでこんな事やってるつもりなの。そもそも、にーさんはイケメンで性格も悪くないんだから、その気になれば彼女の1人や2人、フツーにできるでしょーに」
たとえばマンガとかの発明家みたいに、髪の毛ボサボサでもなければ、ヨレヨレの服とか着ている訳でも、また世界征服を企んでいる(?)訳でもないしさ。
しかも、その発明で特許とか持ってるらしいから、経済的にも苦しくはないはずだし…
「いや、たとえ彼女が出来ても、なぜか途中で、向こうから別れを告げられちゃうんだよなー」
こらこら、すは〜っ…とかって、頭皮を嗅ぐな。頭皮を。
「あ、もしかして自分から、ロ〇コンだって申告しちゃうから、とか?」
「いやー、した覚えは一度もないんだけどなー」
「それは、おかしいわねー」
そこで再び、テーブル越しに私の向かいへ。なにやら三徳にーさんが、ぽんっ、と自らの膝を打ち慣らした。
「ま、ワタシのことはともかく、こうなったら一刻も早く引っ越しした方がよかろう。なーに、すべてワタシに任せておけばいいさ」
「うん。ありがとう、三徳にーさん」
やはり持つべきものは友。こうして、これから約10日後には、私と三徳にーさんとの同居生活が始まることになるのである。
ちょっぴり、不安要素(=ロ〇コン)を抱えたまま…
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