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「あ、あれ。君は誰…かな」


 ドアを開けてみれば、その先で首を傾げるのは見慣れた顔。私より4つ年上の幼馴染、早置三徳はやおきさんとくである。


「ああ、サントクにーさん。久しぶりだわね。元気だった?」


 お互い近所に住みながら、ここのところご無沙汰。そのイケメンや、白衣に包まれた長身を見上げつつ、私は彼に問いかけた。


「いやま、元気は元気だけど…ひょっとしてお嬢ちゃん、りおねの親戚か何かなの」


「ううん、にーさん。信じられないとは思うけど、私りおねなの。あのね、実は、かくかくしかじかで…」


 ほんと信じてもらえるとは思わなかったけど、いちおー私は、この度の『子供化』について、三徳にーさんに説明してみた。


 ところが、


「う〜ん、そうだったのか。それは大変だったなー」


 さすがは幼馴染か。どうやら三徳にーさんは、私の話を信じてくれたようだ。


 まあ、実は発明家という職業柄、脳の構造がイカれて…じゃなくって、脳の構造が、こんなファンタジックな話にも適応できるようになっているからかも知れない。


「でも、なら…」


「なら…?」


 どうしてか三徳にーさんが、急に真顔で私を見つめてくる。


 ううん、別にドキドキとかはしない。三徳にーさんとは、兄妹みたいなもんだしね。


 その代わりに、といっては何ですが、イヤな予感が…


「…なら、合法だなっ。よ、よぉし…お、おにーさんと遊ぼう!」


 とかって、いきなり三徳にーさんが、鼻息も荒く私をお姫様だっこで抱え上げてきた。


 あいや、そうだった。この男ったら、ロ〇コンだったっけ。


「こ、こらーっ、いきなり何すんのさーっ」


 そこで、渾身の右フック! さらに、三徳にーさんが怯んで私を床に下ろしたところで、すかさず一本背負いッ!


 ずででーんっ…!!

 

 たちまち、床に大の字になる三徳にーさん。


「にーさんが、いきなり襲ってくるのが悪いんだかんね」


「そ、そんな襲うだなんて、よく分かった…あいや、ワタシはそんなつもりじゃ…」


 もちろん見も知らぬ子だったら、そんなことはしない…って、当たり前だわいっ。


「で、きょうはまた何の用なの。にーさん」


 ぼちぼち、三徳にーさんも立ち上がったところで、私は思い出したように彼に問いかけた。


「あ、そうだった。でも、立ち話も何だから中へ入ろう」


「あ、うん。そうね…」


 なんて、それはあなたが言うことじゃないでしょ。まったく。


 とはいえ、この際だから相談したいこともある。それゆえ私は、なんだかんだで結局、三徳にーさんを中へ招き入れた。

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