第2話 宮本武蔵の戦い <岡崎さん>
早い話が、岡崎さんの押し・揺さぶりによって、切れのある谷さんの運動が100%発揮できなかった。ここまでedge to edgeの戦いでは、ほんのわずかな心の動揺、1ミリの間合い、コンマ01秒のタイミングのずれが命取りとなる、ということでしょうか。
宮本武蔵という男は、剣の技術や力技ではなく、むしろ、こういった心の揺らぎ・意志と肉体の齟齬(食いちがい・行き違い)という、精神面におけるギリギリのところで戦い(勝ち)抜いたのです。
その晩年、武蔵が逗留した熊本で、柳生新陰流の免許皆伝者と木刀で3回立ち会い、新陰流の「しの字」も書けないほどに相手を押しまくって全勝した、という戦い方。そんな武蔵の剣法を目の当たりに見せてくれたのが、岡崎さんの拳法といえるでしょう。
今回、岡崎さんの戦い方とは「五輪書」における以下のような条項に該当します。
岡崎さんの
○ 「五輪書」「水の巻 24 しうこうの身」と「25 漆膠の身」「17無念無相の打ち」、
そして
○ 「五輪書」「火の巻 4 枕をおさえる、7けんを踏む」によって、
谷さんは、彼女本来の動きを封じられてしまいました。因みに、この2つは押さえる対象が異なります。
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