珍しいお客様

 閉店間際に店へ来たのは小さなモグラだ。眩しそうに目を閉じ、手には光る欠片を沢山持っている。

「器を頂戴。大至急。これは中身の星屑達」

 モグラは懸命に背を伸ばし、

「ご存知でしょう、モグラは星の光を集めてランプにするの。だからお願い。なるたけ優しく光を通す星の器くださいな」

 さて困ったと頭を掻く。

「ええと、うちは服屋なのでこんな物しかありませんが」

 未だギュッと目を閉じたままのモグラにレースの小袋を差し出す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る