星のじゅうたん

迷島めい

最新話

パン屋の三日月

 町一番の早起きは間違いなくパン屋。真っ暗なうちから起き出して、その日一番最初のパンを作る。焼きたての香りが道行く人の足を止め、静かな夜の青色が町からすっかりいなくなったら開店の時間だ。

「もう四日目だよ。酷いよね」

 落ち込んでいるのは鴉のお客様だ。この真っ黒な夜の眷属は、生憎の天気で何日も月が見えない事を悲しんでいる。

「それじゃこちらは如何です? 焼きたてで美味しいクロワッサン、貴方だけのお月様ですよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る