応援コメント

第19話『賭けの行方』」への応援コメント

  • 小説を書く者として、ラウル先生はまさに自らを投影してしまうような、そんな人物でした。それこそ悪魔の力を借りたような成功を、誰もが一度は夢見たことがあるのではないでしょうか。
    これは筆を執る者の可能性の一部を描いたような作品に思えました。だからこそ、「成功に見放されるのが怖い」というラウル先生に共感してしまいます。

    誰よりも素朴で実直だったラウル先生が、すごく好ましく映りました。応援したくなるし、許したくなる。
    アメリーの手紙は刃のようでしたが、そこにはきっと彼女なりの励ましがあったのではないかと思います。残念ながらラウルを許す機会には恵まれませんでしたが、それ以上のことを遺していったように思えます。彼はそうしたいと思わせる人物でありました。

    そして、バルタザール。ラウル先生に影響されてしまった彼は、堕ちるべくして堕ちたのかなとも思います。ある意味誰よりも人間らしかった。もしかして悪魔に向いていなかったから、堕悪魔になったのかも。

    心地よい温度の作品でした。

    作者からの返信

    ご感想ありがとうございます^^

    悪魔の力を借りながら、それでもやはり、ラウルは作家なのだなと筆者は思います。

    作品が上手く行ったら上手く行った場合を考え、日夜作業を勤しみ、やがて身体が仕事について行けなくなると『成功に見放される』ことへの恐怖に震える姿があります。
    そこに作家の、物語を書く上での激しい哀愁があればと思いながら書いた記憶がありました。

    アメリーのことはもっと掘り下げてあげられても良かったと思いつつ、彼女にとっての許しを描けていたら尚良かったのかもしれません。

    最後に堕悪魔バルタザールですが、彼が一番人間くさいと思ってもらえたことに、試みと目論みがうまく行ったかなと思えました。
    ひとに心動かされることが悪魔にとっての禁忌として描き、悪魔の力を無くしてしまうわけですが、悪の力の後押しがないラウルのこれからという終わりに光があればいいなと思って書きました^^