【第一章・第二十八話】皇国四大騎士団



「もちろん、魔道具店の店主のもとで暮らしてるなら、そういう魔道具を持っていても不思議じゃないけど……ティアは、魔法が使えるんだよね?」


「はい。まだ魔力操作の訓練をしている途中ですし、どういったものを扱えるのか試したことはありませんが……」



 上手く魔力を制御することができずに魔力暴走を起こし、命を落としたという前例がが今までないわけではないのだ。昨日だってお師匠様の魔力と衝突して不思議な空間へ転移してしまったばかりだし、わたし自身としては、あまり安易に使うことは好まない。



「ふむ、なるほどな。……フィノファール。先程の案、オレは良いと思うぞ」



 正直にそう答えれば、その返答に眉を寄せた第二皇子は、わたしから視線を逸らし、フィノファール様の方を見た。



「でしょ!?でも、これって結構、本人の伸びしろ次第なんだよね〜」


「それでも、試す価値はあるだろう」


「あの、いったい何の話を……」



 困惑するわたしを余所に話を進めていく二人は、その疑問の声にようやくこちらへ視線を集めた。フィノファール様は、わたしのその困った表情に状況を察したのかして、随分と慌てた様子でパチン、と手を合わせた。



「わわっ、除け者にしてごめん!実はね、今回フォルトゥナに視察へ来たのには、大事な理由があって……」


「ティア。皇国四大騎士団、という言葉を聞いたことがあるか?」


「四大騎士団、ですか……?」



 皇国ヴォラトゥス偵察騎士団というものがあるのは知っていたが、あいにくそれ以上の情報は知らないのだ。偵察騎士団というからには他の騎士団も存在するのだろうが……滅多に城下町へ出て来ないわたしとお師匠様では、情報にも限りがある。



「その様子だと、知らないようだな」


「すみません、噂話には疎いもので……」


「謝らなくていいよ〜。ふっふっふー、ここからはボクが説明してあげる!」



 まず始めに、この国には四つの騎士団が存在するんだ。それが、いわゆる皇国四大騎士団って言われてるものだねー。


 1つ目は、ボク___『フィノファール・フェリキタス』が率いる皇国ヴォラトゥス偵察騎士団。騎士服は、団のイメージである黒鳶をモチーフに作られてるんだ。その騎士団長であるボクは、第二皇子の直属であることを示すアイオライトが……ほら、胸元に付いてるでしょ?まあ、戦争のとき以外もスパイとして暗躍してるわけだから、あんまり褒められた役職ではないかな〜。


 2つ目は、『ドクトリナ・プルデンス』が率いる皇国ウィンクルム医療騎士団。第三皇子の直属なんだけどね、彼はこの国で一番優秀な研究者で凄腕の錬金術師なんだ。団のモチーフは白百合で、清廉潔白なあの皇子様にピッタリだよね。皇国内で感染症が流行っちゃったときとかも、あの二人がいるから本当に安心できるよ。ドクトリナとは昔馴染みでさ、たまに顔を出すとお菓子をくれるんだ。


 3つ目は、『ルージュ・フィエービリス』が率いる皇国ルミエール魔銃騎士団。フィエービリスっていう姓は聞いたことあるでしょ?そうそう、あの有名なお貴族様の血筋なんだ。ふふっ、女の子っぽい名前だけど、それは本人もちょっと気にしてるみたいだから、思ってても口に出しちゃ駄目だよ?第四皇子直属、団のモチーフは桔梗。大きな権力を持ってるフィエービリス家の人間だけど、すごく良い人なんだよ。




 ____これで、皇国四大騎士団についての説明は以上かな!



 ____なにか、質問とかある?

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