見付からない仕事
ハローワークに着くと、まずは登録する必要があるらしく数十分待たされた後に無事登録出来ました。僕がイメージしていたハローワークとは違い、まず部屋に置かれたパソコンで求人を探し、興味が湧いた者があればその場で印刷して窓口に持って行く、というシステムでした。
最初は結構楽しかったです。こんな仕事もあるんだなぁとか、何と言うか、不動産の情報を眺める楽しさのようなものがありました。自分に関係無いからこそどんな値段や立地でも楽しく見ていられるようなあの感覚。
でも残念ながら今回は当事者です。にも拘らず、僕はどこか他人事のように、楽観的に求人に目を通していました。正直大抵の仕事なら見つかるからのんびりいい仕事が出てくるまで待とう。そんな感じでパソコンの画面を眺めていました。
僕の地元は寂れた小規模の都会で、求人は明らかにブラックな営業職か、介護職か建築系ばかりで、ろくな求人が無かったのを覚えています。月給16万円年間休日100日未満なんてザラでした。
その日は取り敢えず気になった求人を二枚ほど印刷し、就職活動している気分に浸ることが出来ました。窓口で軽く雑談をした後に帰ろうとすると、失業手当は申請しないのかと言われました。
自分は前職を自己都合(実際はパワハラでしたが)で退職しており、給付されるまでに三か月の期間が空きます。その時の僕は流石に三か月も無職しないですよと軽い気持ちで笑い飛ばし、申請せずに帰りました。今思えば何て馬鹿な事をしたのかと後悔しています。
七か月分。約百万円をドブに捨てる事になるとはこの時予想だにしていませんでした。
ハローワークを出て気分が大きくなった僕は贅沢にラーメンを食べに行きました。どうせすぐに仕事も見つかるだろうと、財布のひもも心の緊張も緩くなっていたんだと思います。
しかし、それから仕事が見つかる事は無く、気付けばホームレス生活も一か月を越えていました。
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