L×R

.124『コロリアージュ』:Terza rima

大（おお）きな紙（かみ）の上（うえ）に広（ひろ）がる　無数（むすう）の夢想（むそう）

お洒落（しゃれ）なパレットにいろんな赤色（あかいろ）を足（た）して

小躍（こおど）りする儘（まま）に絵筆（えふで）を取（と）りましょう

こなれた左手（ひだりて）と　幼気（いたいけ）な目（め）を　開（ひら）いて

そうそう良（い）い感（かん）じ　頷（うなず）いて塗（ぬ）りたくって

夜（よ）な夜（よ）な　磨（みが）いたの　ほらほら　見（み）て見（み）て

どうかな　なかなか　真（ま）っ赤（か）な絵（え）にできなくて

どれだけ塗（ぬ）って　塗（ぬ）ろうとも　塗（ぬ）り足（た）りないよね

どうしても　赦（ゆる）せなくて　無我（むが）夢中（むちゅう）で　腕（うで）を振（ふ）って

もれなく　赤（あか）く塗（ぬ）りたくて　弾（はず）ませた息（いき）の根（ね）

桃色（ももいろ）では物（もの）足（た）りない　もっと赤（あか）い赤（あか）を求（もと）めよう

折（お）れない筆（ふで）で　世界（せかい）へ触（ふ）れ　もっと塗（ぬ）らないとね

大（おお）きな紙（かみ）の上（うえ）に広（ひろ）がる　無数（むすう）の夢想（むそう）

おませなパレードにいろんな赤色（あかいろ）を足（た）して

小躍（こおど）りする儘（まま）に絵筆（えふで）を振（ふ）りましょう

ぼやけた左目（ひだりめ）を　こすっては　絵（え）を抱（いだ）いて

そうそう良（い）い感（かん）じ　頷（うなず）いて塗（ぬ）りたくって

どやどや　動（うご）く絵（え）に　逸（そ）らした　左手（ひだりて）

どうだろ　そろそろ　お揃（そろ）いの色（いろ）にしたくて

どれだけ塗（ぬ）って塗（ぬ）ろうとも　まだ足（た）りないのね

どうしても赦（ゆる）せなくて　無我（むが）夢中（むちゅう）で　腕（うで）を振（ふ）って

もれなく　赤（あか）く塗（ぬ）りたくて　ご機嫌（きげん）を損（そこ）ね

乙女（おとめ）色（いろ）も求（もと）めない　もっと赤（あか）い赤（あか）を　点（とも）そう

折（お）れない吭（ふえ）へ　世界（せかい）へ狂（ふ）れ　延々（えんえん）と駄々（だだ）を捏（こ）ね

ころころと転（ころ）げ回（まわ）る　白（しろ）い紙上（しじょう）の　お人形（にんぎょう）

動機（どうき）は笑（わら）わせるため？　ひょうきんな頭（あたま）を振（ふ）って

ころころ　ころころと　嗚呼（ああ）　なんて　醜（みにく）いのでしょう

どうかな　まだまだ　真（ま）っ赤（か）な絵（え）にならなくて

どれだけ塗（ぬ）って塗（ぬ）ろうとも　青（あお）が邪魔（じゃま）なんだよね

どうしても　赦（ゆる）せなくて　無我（むが）夢中（むちゅう）で　腕（うで）を振（ふ）って

もれなく赤（あか）く塗（ぬ）りたくて　掻（か）き鳴（な）らす息（いき）の根（ね）

求（もと）める儘（まま）に　赤（あか）い赤（あか）い　もっと赤（あか）い赤（あか）で塗（ぬ）ろう

折（お）れない腕（うで）で　世界（せかい）へ振（ふ）れ　そうそう　良（い）い仔（こ）ね

もっと振（ふ）って　衝（つ）いた手（て）で塗（ぬ）り尽（つ）くしましょう

もっと塗（ぬ）って　塗（ぬ）り替（か）えて　塗（ぬ）り潰（つぶ）しましょう