第10話
「こちらで御座います」
ウェイターに案内された個室のドアを開けるとそこに居たのは肥満体型で私の父より遥かに年上のおじさんと、小麦色の肌でブロンドヘアーの女が座っていた。
「――!お前あの時の!」
私の顔を見てすぐに言葉を発したのは志満だった。その顔は戸惑っているようにも見下しているようにも捉えられた。
「こらこら志満、上本さんの娘さんにそんな口聞かない。すみません内の娘が」
無壱が口を開いた、優しそうな声だがその裏には隠し切れない気持ち悪さがあった。
「いえいえ、全然大丈夫ですよ。それと、お初にお目にかかります、上本浩一郎と申します」
「そんな畏まらないでいいですよ、もっとフランクにいきましょう。今日は楽しくお話したいだけですから。」
「そう言っていただけると有り難いです」
「そちらのお二人は?」
「私の娘と娘の専属メイドです。」
「初めまして上本梨亜と申します」
「梨亜様の専属メイド、後和 夕莉菜 モーツァルトクーゲルと申します」
急に話を振られて少し驚いたが上手に対応できた。実を言うとこのような場面にはあまり慣れていない、会食なんかは面倒くさいのでいつもパスしていた。
なので今回会食に行くと伝えると父さんも無壱も驚いていた、どうやら『上本製薬の御曹司はいつも会食をパスするから本当は存在していないのでは』と都市伝説的な存在になっていたらしい。まぁそのおかげで女子の姿のままで居られるんだけどな……
「それでは適当に世間話でもしましょうか」
自己紹介も終わったところで無壱はそう提案した。
♢
会食を初めて約1時間、そろそろだ。まずは①、連絡が入り父さんは席を外す、このあたりで電話が来ると思うのだが…
プルルルプルルルプルルル………
来た。
「すみません、ちょっと席を外しますね」
次は②だ。
「すみません無壱様、私志麻さんと二人でお話したいので別の個室に行ってもいいですか?」
「あぁ、勿論いいぞ。志満もいいよな」
「え…うん、分かったよパパ」
よし、順調だ。
「では私はモーツァルトクーゲルさんと言ったかな、私についてきてくれるか?私も二人きりで話がしたいんだ。」
よし、これで2対2に分けることができた。しかも向こうから提案してくれるのは非常にありがたい。
しかし発せられた声には厭らしい下心が混じっている、どうせろくな話では無いだろう。だがモーツはありとあらゆる武術の達人だ、何があってもきっと大丈夫だろう。
「しかし私は梨亜様の専属メイドなので………」
「大丈夫大丈夫、娘たちの部屋には誰も入れさせないし二人は女子高生だろう?なにも心配はいらないよ」
「梨亜様よろしいでしょうか……」
「ん?いいよー」
「じゃあ決まりですね」
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百合展開まであとちょっと
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