異界の者達


コツコツとブーツが鳴っている。



人々の視線が集まる。


「コスプレ…?」

「何かしら…」


ザワつく人々を他所目に女は町を歩いていく。



「人、人、人…

人だらけ。」


オレンジのツインテールに大きな斧を持った女性。


「そこの女!止まりなさい!

速やかに武器を捨てなさい!」



警察官が銃を構えているが、手は震えていた。


「アンタ、護神?」


「は?!何言ってる!

とにかく武器を…!」


「置けばいいのね

はいはい、分かりましたよ〜…」



ひょいと女は斧を掲げた。

そして軽々と振り下ろした。


「っと」


ズバッと二つに斬られる警察官。



「うわ、何この感触の無さ。人間弱すぎ

でも…美味」



斧の刃に付いた血をペロリと舐めると辺りは騒然とする。


悲鳴と助けを求める声が響いた。



「あ〜、うっさいうっさい」





その場に来た、魂の神、花の神、海の神、薬の神。


「何よ…これ、、」


魂の神と花の神は青ざめていた。



「アンタらは、護神?」


「そう、護神だ。君は悪しき神?それとも…」



薬の神が率先して言うが女はニヤリと笑った。



「神?何ソレ?アタシはオーク。

護神は何故か殺したくなんのよね〜」



す、と構える女オーク。



「来るよ!皆下がって!」


「きゃあっ」



オークが斧を振り下ろすと地面が激しく割れる。



「どうしよう…!?私たち戦い方なんて…

分からないよ」


花の神は青ざめながらオークを見ている。



「言ってる場合じゃないよ!どうやったら魂に戻せるか…っ」


「これが異界の者なのか…?」



「皆、落ち着いて」



ただ一人落ち着いているのは薬の神だけだった。


オークは小馬鹿にしたように笑っていた。



「へ〜、結構すばしっこい…

?!」



突然オークの手から斧がスルリと落ちた。

手が震え、足に力が入らなくなり、とうとううつ伏せに倒れてしまった。



「……!?

何…?」


「毒性の強い粉を撒いたんだ

あと数秒で死ぬよ」



「!?い、嫌…

はぁ…、息が…」


口や目から血を流すオーク。


「ぁ…ッ!!」


最後に苦しみの声を上げ、パヒュ…としゃぼん玉のように魂が散っていった。




「皆分かった?

異界の者を殺すと魂が元の世界に帰るんだよ。

そういう仕組み…って…」



薬の神が振り返ると三人はドン引きしていた。


「引きすぎでしょ、これで彼らを救えるんだから仕方ないんだよ」


薬の神が言うが三人は冷や汗をかいていた。



「怖いよ〜」


「悪魔…」


「私にはムリ」




ーーーーー



「え?皆に伝えていないんスか?」


「理解力のない人、うるさそうな人には…

めんどくさかったの」



大気の神の問いに、しれっと言う鳥の神。



「それよりどうして浮雲を使わないの」


「悪しき神や異界の者を見落とさない為スよ

中には人型のもいるスからね。」


「そう…」



そんな会話を聞きながら創神は、大丈夫かなと皆を心配するのだった…。



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