第64話 ドスケベ回です
『カイルたちは宿屋に泊まりました。つまり、まだこの町に滞在するつもりのようですね』
恐らく『気配』とやらの正体が分かるまで町にいるつもりだろう。
『夜も遅いし、今日はここまでにするか』
『分かりました。私たちは店に戻ります』
セシリアとネネ。そしてキラーは自宅へ帰っていった。
『あたしはもう少し残るよ。カイルたちも、宿の中だと大事な会話をしてくれるかもね』
ルビアとフィオナさんは残ってくれるみたいだ。
おかげで、カイルたちの盗聴が引き続き可能となる。
『……助かる』
今のカイルとダイアは『二人きり』だ。
何も聞かれていないと思っている。
まさか俺たちが盗聴しているとは思っていないだろう。
警戒も薄れているに違いない。
ならば、こちらにとって重要なキーワードも漏らす可能性も高い。
特に『気配』というのが何を指すのか?
その正体が分かれば、俺たちも対応がしやすくなるはずだ。
さあ、集中して会話の内容を聞くぞ!
貴様らが何を企んでいるのか、俺たちが暴いてやる!
「ああ、カイル様♡まだ足りません♡もっと愛しあいましょう♡」
『…………』
ああ、そうだよね。
『二人きり』で『警戒心が薄れた』のならば、『やる』ことは一つだよね。
そういえば、原作でも夜はいつでも『ドスケベシーン』だったわ。
爆発的な売り上げを誇る『ゆうざま』。
実は性描写が大人気の作品でもあった。
むしろ、その部分が人気の秘訣まである。
アニメ化された際にはモザイク入りだったが、ブルーレイではサービスシーンのモザイクがカットされ、さらに追加のドスケベシーンがある。
これが今の時代ではあり得ないレベルでの売り上げを叩き出したわけのだが……まあ、それはどうでもいい。
つまり、これはただの原作通りなだけである。
とにかくドスケベにしておけば作品は人気が出て売れるのです。
執筆者は覚えておきましょう。これでドスケベな君も、ランキング上位間違いなしだ!
とか分かっている風に語っている低ランクの人は、実はよく分かっていない人だから、真に受けちゃダメだゾ♪
『勇者様、なんで泣いてるの?』
『試行錯誤の果てにずっと☆が0のままこの世を去った悲しい男の物語だよ』
『???????』
『ま、まあ、それはともかく…………やむを得ん。もう少しだけ待って、それから奴らが情報を吐くのを待とう』
それから3時間後。
「カイル様♡まだまだ足りません♡もっともっと愛しあいましょう♡」
まだ続いていました。
いつまでやっとるんじゃ!!
というかこれ、終わる気配が全く無いんだけど!?
『おうふ。あいつら、どれだけ性欲が強いんだ』
ルビアはかなりげんなりした様子だ。
そういえば、ダイアは魔力の枯渇が激しく、それを補うために魔力の相性がピッタリのカイルと定期的に愛し合う事によって、その魔力を補充しているみたいな設定があった。
まあ、それもだだのこじつけで、実際はドスケベシーンで読者を呼び込みたいだけである。
そういえば、俺もドスケベカイルに転生したら、何でもしてくれるドスケベダイアちゃんにあんなことやこんなことをやりたいな~なんて思っていたのは、やはり内緒である。
しかし、クソ勇者としてこんなものを延々と見せつけられるとか。
もう拷問だろ、これ。
これもある種の『ざまぁ』と言えるのかもしれない。
『ルビア様、聞いてはいけません。教育に悪いです』
言われてみれば、これは16歳の健全な女子に見せたらまずいものだったのでは?
『あたしは気にしないから、別にいいよ。ふわあ~。眠い』
ドライな16歳。さすがはやる気の無い悪役令嬢。
こっち方面に関しても『やる気が無い』らしい。
1990年に亡くなった彼女も既に心は現代っ子です。
素晴らしきはさとり世代である。
その後、数時間に渡る行為の後、カイルたちは疲れて寝てしまった。
『って、結局なんの情報も吐かないんかぁぁぁい!!!!!』
全員が揃って同じセリフを口にしていた。
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