第5話 不思議の国の童子さん。

 入学式は、とても賑やかであった。流石に都心の良い所にある高校は田舎にある高校とは訳が違う。

 「…」

一通りの行事を終えると校庭前の広場に人だかりが出来ていた。

 「マジかよ~」

 「きゃはは。」

 「よぉっしゃ~」

入学生達は、校庭に張り出してある紙を見てどうやらはしゃいでいるようだ…

 「…」

俺は、ポケットにある紙を取り出し番号を確認する。

 「…Dの33番」

校庭に張り出してある例の番号と一致しているクラスを探すと溜息をついた。

 「…はぁ、D教室後ろの窓際の席かぁ…」

今の気分を如実に表しているかのような席順にこれから始まるであろう生活に不安を抱いた。

 「ガララ…」

嫌な気分になりつつもD教室に入ると意外にもDクラスの全員が席に集まっておりD教室に最後に入ったのは自分一人だったようだ。

 「ふぅ…」

とぼとぼ歩き自分の席に向かう途中に異変に気付く。

 「?」

自分の席から隣の席に座っている女性が何か異様な目で俺の方をずっと見つめているような気がした。いや、教室に入った時から見つめていたような?時間は、間に合っているよな?まだ、教室では新しい担任の先生も来ていないはず?程なくして席に座ると俺は、隣の席の女性に小声で声を掛けた。

 「…ま、まさかぁ…じ、自分がぁ最後に入るとはなぁ…あの…ちょっと珍しいですよねっ」

俺は、隣の席の女性に言って後悔してしまった。そもそも、向こうからすると最後に教室に入って来た奴が珍しいに決まっている。そりゃ、じろじろ見られるよな…

 「…?」

ほら、向こうも困惑しているよ…寧ろこの男(キモっ)とか思われていなければ良いのだが…すると、彼女は―――

 「ふふ…やっぱり、面白いのね。前に私の前に現れた時には≪化け物≫らしい姿だだったけれども。」

彼女の謎の発言に俺は、困惑してしまった。向こうの方もこれはだいぶ(ヤバい)電波系の方だと思いつつも俺は、困惑しつつも彼女にこう切り返す。

 「あの――どこかで―――」

そう言い放つと同時に3Ⅾの教室に担任の先生が入る。そして、彼女は俺に言う。

 「月夜 童子―…どうも初めまして…Davidくん。いえ、陽くん。」

彼女は、俺に言うと正面に向き合った。



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