第1-5式:敵機襲来!?
解1-5-1:緊急事態発生!
その後は
カナ兄とチャイは指令室へ行き、ティナさんから様々な操作や機能について学んでいる。ショーマは居住区画内を探索したり、食事をしたりしているようだ。
俺は自室に戻り、さっきまでと同様にベッドの上へ仰向けに寝転がってボーッと過ごしている。
指先で摘んでいる
手に入れた時は白銀色に輝く金属塊だと思っていたけど、その光が収まった今は欠片自体が透き通るような蒼色をしているのが分かる。質感はガラス片のようで、吸い込まれるような美しさだ。
形は底がやや平べったい涙型で、空から舞い落ちた雫のようにも見える。
「こんな小さな塊が全ての運命を握っているのか……」
地球やたくさんの世界を元に戻すには、自分たちの命や未来を賭けて
そして最終的には災いの元凶であるインフィにも勝たないと……。
まだまだ途方もなく先は長いし、本当にそんなことが実現できるのかも分からない。でも俺たちにはそれを成し遂げるしか道はないんだ。
「それにしても本当に不思議な石だ。こうして手に持っているだけで体が癒されていくような気がする。心も落ち着いてきて、明鏡止水といった境地にもなるし。間違いなく何らかの力が秘められているって本能的に分かる」
俺は
――と、その直後のこと!
不意に部屋全体に警告音が鳴り響き、照明の光も赤色に変わって点滅を始めた。そしてどこかからティナさんの切羽詰まったような叫び声が聞こえてくる。
『敵の襲撃です! ショウマ、ヤスタケ、すぐに指令室へ来てください!』
「なっ!?
俺は即座に起き上がり、廊下へ繋がるドアの横に設置されている『降車ボタン』のところまで駆けていってそれを押した。
するとチャイムの音とともに目の前の空間が歪み、指令室へと
窓の外では景色が後ろに流れ、周囲は白煙に包まれている。
さらに爆音とともにフラッシュのような光が見えることなどから、ラプラスターは後方から放たれている弾丸だかミサイルだかのようなものを避けながら
事実、運転席に視線を向けると、カナ兄が必死の形相でハンドルを握っている。
また、左側の最前列の席にはティナさんが座り、激しく瞳を光らせながら情報の処理をしている。つまり自動運転は解除され、マニュアルで操作しているということなのだろう。
さらに右側の前から2列目の座席にはチャイが座り、目の前のディスプレイを確認しながら端末の操作をしている――と、その直後にこちらを振り向いた彼女と目が合う。
「ヤッくん、早く席に座って! ティナさんのひとつ後ろの席ッ! そこがヤッくんの席だからっ!! それでカナ兄の操縦を補助してあげて!」
「お……おぅ……」
チャイの剣幕に押され、俺は戸惑いつつも返事をして自分の席に座った。
目の前にはほかの座席と同様にディスプレイと端末、キーボード、何かのレバーのようなものなどがあり、そのディスプレイ上には外の映像や何かのグラフ類、数値などが表示されている。
ただ、何の説明もなく操作しろと言われても困る――と思ったのだが、席に座った途端にその疑問は瞬時に払拭された。
なぜなら操作方法が『本能的に分かった』からだ。
――そうか、おそらくこれは
これなら知識面における各人の習熟は不要になる。もちろん、操作手順の効率化や瞬時の判断力、反射神経といった経験に依存する部分には個人の能力差が出るだろうけど。
「お待たせっ、ティナ姉!」
俺からわずかに遅れてショーマが指令室に
そういえば俺が
(つづく……)
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