解1-2-3:個人識別登録
俺が目を丸くしていると、ティナさんは説明を続ける。
「ラプラスターがバスと融合した時、この空間にあったいくつかの
「で、これをどうすれば?」
「カナウの操縦席の横に、起動キーの
「つまりまずはこの場にいる全員がそれぞれ自分のカードを、運賃箱に付いたIC乗車券の
「ですが、認識としてはそれで間違いありません」
この時、俺はさりげなく視線をチャイたちに向けて様子を
するとふたりは自分の『
もっとも、いつの間にか涙が止まって、少しは落ち着きを取り戻しているのは不幸中の幸いかもしれないけど……。
そういえば、カナ兄はIC乗車券を持っているのかな? 視線を落とし、手に持っている何かを見ているのは確かみたいだけど、俺の位置からだと何なのかまでは判別できない。
「オレの場合はICチップ付きの社員証がその役割を果たすみたいだな。いつも運行業務に入る前に、運転席の専用
「カナウはその専用
「分かった! それじゃ、やってみるぞ!
カナ兄は気合いの入った声で叫ぶと、起動キーを運転席の専用
――でもその気持ちも少し分かる気がする。やっぱ男子ならこういう
俺は俺で車内にどんな変化が起きるのか、固唾を飲んで様子を見守る。
…………。
……でもいつまで経ってもその場には沈黙が流れるだけで、何かが起きた様子は全くなかった。
カナ兄が起動キーを
やがてカナ兄は首を傾げながらティナさんの方を振り向く。
「ティナ、何の変化も起きないんだが……」
「司令室内に目立った変化は起きません。ひとつのものであっても、複数の空間にそれは存在するからです」
「へっ? な、何のこっちゃ……?」
「先ほども話に出ましたが、現在のラプラスターを外から見ればバスを
ティナさんの話を聞いてカナ兄は依然として眉を曇らせているけど、俺は事象の
(つづく……)
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