解1-2-2:車内に起きた変化
おそらく何かの情報の処理や演算などをすると、端から見て分かるようにそういう現象が起きる仕組みになっているんだろう。確かにそうした点はコンピュータみたいだ。
もちろん、ティナさんの外見は俺たちと同じ人間そのものだけど……。
「緊急事態で時間がなく、カナウが操縦していた移動機械と性質が適合するか一か八かの賭けだったのですが、無事に
「操縦というとなんだか堅苦しいな。オレとしてはやっぱりバスに対しては『運転』という方がしっくり来るよ。今だって外から見たら、バスみたいな形は保っているんだろ?」
「はい、
「そっか……。もっとも、戦闘ロボットになってしまったのなら、今後はやっぱり『操縦』って感じになりそうだな。分かった、オレもその呼び方に慣れていくことにするよ」
カナ兄の言葉に対してティナさんは小さく頷いた。
確かに
――うん、こうしてティナさんの話を聞いて少しずつ色々なことが把握できてきた。もちろん、想像の範囲を超えた物事に関しては『そういうものなんだ』と受け入れるしかないけど、とっかかりが何もないよりは良い。
例えば、真っ暗闇の中で何もなしに
ゆえに理解をさらに深めるために、俺はティナさんにほかのことについても問いかけてみる。
「ところでティナさん、あなたがラプラスターの
「承知しました。ただ、今は悠長に話をしている場合ではありません。もうすぐ
「えっ? む、
「この場にいる一人ひとりが『起動キー』になり得るものを持っているはずです。まずはそれを使ってラプラスターの力を引き出し、
「起動キー?」
「ヤスタケであれば、上着の内ポケットに入っているカードのことです」
「内ポケットに? あっ、それってもしかしてIC乗車券のことですか? でもこんなの単なる――えっ?」
俺は内ポケットに手を伸ばしてゆっくりそれを取り出してみると、なんとその姿は見慣れないカードへと大きく変容していた。
確かにサイズや厚みはいつもバスや鉄道などを利用する際に使っているIC乗車券とほとんど同じ。ただ、表は全面がディスプレイに変化し、そこには俺の顔写真や名前などが表示されている。
また、画面に指で触れるとその度にキーボードや何かのデータなどが次々に表示され、さながらコンパクトで簡易的なスマホといった印象を受ける。
一方、裏には何かの差し込み口がいくつかあるけど、今のところどういう機能があるのかは分からない。いずれにしても俺のよく知るIC乗車券とは全く違うものになっているのは確かだった。
バスの車内だけじゃなくて、まさかこんなところにも変化が起きていたとは……。
(つづく……)
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