第四回 スプリングフィールドXD(HS2000)

生産国:クロアチア

使用弾薬:9mmパラベラム(作中登場モデル)

装弾数:15+1/10+1


作中の初出(「クロアチア製の自動拳銃」表記):第十二章 その男は夜にやってきた

https://kakuyomu.jp/works/16817330648896714667/episodes/16818093078935290343


正式名称の初出:第十四章 どこにも行けない雨の中

https://kakuyomu.jp/works/16817330648896714667/episodes/16818093080432134887




 HS2000はクロアチアのI.M. Metalというメーカーが開発した自動拳銃で、アメリカではスプリングフィールド・アーモリーが販売権を獲得し「スプリングフィールドXD」という商品名で売り出し大成功を収めました


 ただしライセンス生産ではなく、あくまでクロアチアの製造工場で作られたものを輸入販売する形となりました


 HS2000の注文が殺到したI.M. Metalは社名をHSプロダクトと名を改めました。


 それほどまでにHS2000(スプリングフィールドXD)は売れたのです


 作中においては未来の話になりますが、45ACPや40S&Wを使用するモデルなどのバリエーションも数多く出ました


【特徴】

 ポリマーフレームの流線的なグリップにトリガーセ イフティ……とまあ、一目でわかるほどグロックの影響が見て取れますね

 ただ全体的にはグロックよりかは敢えてポリマーの使用を抑え、金属で作られている部分の割合が増えているようです


 グロックにない大きな特徴としてはグリップセイフティやコッキングインジケーターの追加、マガジンキャッチボタンのアンビ化などがあります


【欠点】

 2000年代には飛ぶように売れて創作物にも頻出した銃ですが、発売から年月が経つと同じようなサイズ、同じ弾薬を用いる他の拳銃に比べてXDシリーズは磨耗が早いという声が多数上がり、発売当初ほどハイレベルなイメージは持たれなくなってきました


 現在では良くも悪くも手頃でコスパのいい銃として、落ち着くところに落ち着いた感があります


【作中の描写】

 間違いなくクロアチアで製造された銃でありながら、東欧色が薄れ「アメリカの銃」としてのペルソナを帯びる数奇な運命を辿った銃です


 これは恐らくアメリカ人ユーザーに販売するにあたって、スプリングフィールド・アーモリーが意図的に行った戦略であると思います 


 そして『人殺しのエヴィス』でこの銃を使用するのは、ロシア系アメリカ人であるジェイク・ダニレフスキーです


 初めて登場した際には単に「クロアチア製の自動拳銃」と表記し、またサングラスの男(ジェイク)の関係者であろう連れ出された娼婦(妹のミア)がスラヴ系の顔立ちであることからクロアチア人ではないかと考えた読者も多かったのではないでしょうか?


 これは他でもない、スプリングフィールドXDでしか出来ないミスリードでした


 また、作中の時代のアメリカにはまだアサルトウェポン規制法が存在し、アメリカ輸出モデルには10発マガジンがついていました(この後2004年に廃止されて、アメリカでもクロアチア同様に15発入りマガジンを合法的に入手することが可能となる)


 だからジェイクが10+1発を撃った時点でホールドオープンを起こすのも、実は彼がアメリカ人であることのヒントだったんですね


 そしてヨーロッパまでやってきながらクロアチア製のマガジンを入手するより先に行動を起こしたことを、今も妹が苦しんでいる状況で準備に時間をかけたくなかったのだという表現に用いました


 そして行動を起こしてからは、強大な組織を単身敵に回して先のあてがない不安を、自身の不完全な状態の銃を頼りなく感じることで表現しました

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