ep.11 内乱3



「第三トーチカ、何をしている? さっさと消火せんか!」



満州駐屯国境警備軍司令の浜田頼宏は、迫りくる実戦経験豊富な盗賊を相手に苦戦を強いられていた。


盗賊も当初はクロスボウと投石機に翻弄されていたが、すぐに木の影に移動。木を盾にしつつ火矢を乱射し、トーチカや見張り台を炎上させている。


精鋭揃いの国境警備軍相手に、盗賊も損害はかなり出ているようだが武器の差を考えれば賞賛に値するであろう。



「はぁ、この戦力でいつ来るかもわからない本国からの援軍に耐えなければならないのか...」



彼は決して戦力不足を放置していたわけではない。


残存する満州国の元兵士たちにクロスボウを配布し予備兵力とし、損耗が激しい部分への補充に当てていた。しかし複数の盗賊が連合を組んで攻撃してきたため、戦力差は4.5倍にまで膨らんでいる。(これは後日死体を確認した結果。)


ランチェスターの法則によれば防衛は攻撃の三分の一あればできるらしいが、それを軽々と超えている。


兵器の差でなんとか持ちこたえてはいるもののこのままではいつまで持つかわからない...



「司令! 敵後方に新たな軍勢が出現しました! 船から上陸しているようです! おそらくは本国からの援軍かと!」



「想定よりかなり早いな。しかも後方に布陣するとはようやるわ」



ドォォンッッ



「なんだ!? 噴火か?」



「まさか...あ、艦砲射撃です! 周辺国に退避していた艦艇です!」



「はぁ? 魔導砲があんあ威力なわけ無いだろう! 前見たときは結束手榴弾より威力が弱かったじゃないか! つまりこれは敵の新兵器だ! 総員地下壕に撤退せよ!」



ーーーーーー



「お、国境警備軍が地下壕に撤退してくれたのか。これで好き放題に撃てる。有能な味方に感謝しないとな」



退避艦隊司令の山本 亮太は勘違いした。


こうして国境警備軍司令の浜田は味方と敵を誤認するという恥をかかないで済んだのである。



「この魔導砲とかいう兵器、我が国が改良したとはいえとてつもない威力ですな。ワイバーンの火炎弾が豆鉄砲に見える」



「ですがワイバーンに攻撃されたら魔導砲ではとても当たりますまい」



「それもそうですなハッハッハー」



彼は神聖ザユルティ法皇国の武官と話しながら片手間で盗賊を捻り潰していた。

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