ep.12 内乱4



「なんだこれは...」



浜田が地下壕から出ると、そこには黒く焼き焦げた大地と元々盗賊であったのだろう物体しかなかった。


幸い満州の居住区に被害は無いようだが...



「あ、ご無事でしたか」



「君は...そうか神聖ザユルティ法皇国との交渉がうまくいったのか」



「それはもう信じられないほどうまくいきましたよ。こうして心強い援軍も連れてきましたし」



「さっきから盗賊の生首を収集しているのは法皇国の兵士か」



「ええ、魔導砲に手柄を奪われたので、せめて形が残ってる生首だけでも持って帰って褒美をもらいたいんでしょう」



神聖ザユルティ法皇国の武官が嫌味のようなことを言っているがそんなの無視して、



「今後とも是非交易ををお願いします。兵器開発には貴国の優れた魔法が必要ですから」



「いえいえ、貴国の素晴らしい発想があってこそですよ」



ーーーーーー



「あ、あのドラゴンはなんだ!?」



総参謀長の武氏義之は本国の戦力を引き連れて満州に向かっていた。しかし、後もうすぐというところでアニメでしか見たこともないような巨大なドラゴンが人を載せて対地攻撃をしているのを見てしまった。



「155mm榴弾砲のような威力だ...」(爆発は魔導砲の攻撃であることに気づいていない。)



「幸い味方のようだ。おそらく対盗賊の自警団かなんかだろう。だが対空警戒を怠るな! まだ味方かはわからん!」



「参謀長! 満州より発光信号!えー、メモメモ...


現在、レッド国(神聖ザユルティ法皇国の名称不明時の仮称)による支援を受けた水軍が盗賊を蹴散らしているということです!」



「え〜...これまた面倒なことに...」


ーーーーーー


元生徒会長 松尾



「なぜだ!? あれほどの盗賊に襲撃されていたのになんだこれは!?」



遠くから双眼鏡で見物していた松尾は、爆発を逃れていた。


しかし、頑張って誘導した盗賊が消し飛んでしまったため、怒り狂っていた。



ーーーーーー



「とんでもない国だなぁ...」



神聖ザユルティ法皇国軍のアレクセイ・プリルコフ少将は誰にも聞こえぬよう小さく呟いた



この大日本帝国とかいう国、別世界から来たとか何とか言っていたが、


我々にはとても想像できないような魔法の使い方を次々と考案してくる...


ただ幸運だったのは彼らは魔法の利用はできても、3才児程度の魔力しかないという点だ。


つまり彼らは魔法を我々から入手し、一方我々も彼らから大量の技術をもらう。


それをやってじっくり技術を溜め込んでいけばあの忌々しきルベメレント帝国やサー諸国連合、なんならゼイトゥア空中民主教皇国にも勝てるかもしれない…



彼は一軍人としての範囲を超えたような妄想をしていた。



ーーーーーー


数日後…



「皇帝陛下、先の遠征軍派遣のご報告に参りました」



「あー、そんなこともあったっけか。長旅ご苦労であった。あの距離なら片道だけで一週間はかかるだろう」



「いえ、驚異的なスピードで航行する船を日本は持っていまして、なんと2日で到着してしまいました。」



「な…奴らがあれほどまでに運河を建造したがっていたのはそのためか! まずい、いくら我が国でも2日では防衛体制を整えられんぞ!」



「お言葉ですが陛下、彼らは我が国に敵対意思は無いようです」



「じゃあなぜ魔力瓶を三百本も買ったんだ!侵攻して技術が途絶えるのを恐れたから以外にないだろ!」



「いえ、あの国の民はほとんど魔法が使えないのです。」



「え? は? 魔法なしに一体どうやって2日で移動するような驚異的な船を作ったのだ?」



「...彼らは別世界から来たと言っており、その世界の科学とかいうものを使用しているようです」



「うーむ、別世界云々は信じられんが、その科学とかいうのは興味深いな。今度軍事パレードでもやってみるとするか」



「それでしたら陛下、先日日本を攻撃した盗賊の本拠地を共同で叩くのはどうでしょう?」



盗賊たちは神聖ザユルティ法皇国の思惑に巻き込まれるのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る