第158話星田・柳井との再会パート2

 翌日、新聞配達を終えて朝食を食べていたら清田がやってきた。

「リンダ~。遊びに来たぞ~」

私は清田に

「まだ朝食食べてるところじゃけど、上がって待っちょくか?」

と言うと、

「じゃあちょっと上がらせてもらってええか?」

「リンダ、誰か来たんか?」

「あぁ、俺の高校のクラスメイト。あとで紹介するわ」

そう言って、朝食を済ませて、食器を洗って私の部屋で待っていてもらっていた清田を紹介した。同じ高校生ということで、すぐに打ち解けた仲となって、いろいろと話をしていたら、知らず知らずのうち、清田の喋り方が大阪弁になっていた。どうやら大阪弁はすぐに”感染”するらしい。

「お前、喋り方が大阪弁になっとるやんけ」

そう私が茶化すと

「ほんとじゃあ。いやぁ。皆が大阪弁喋るから、俺にもうつったわ」

そう言って笑いあって、さてそれからどこに行こうという話になった。特に予定も決めていなかったので、一日空いていたのである。かといって、自転車で行ける範囲と言うのも限られており、私が持っているNゲージを走らせてみようということになった。私がこの当時持っていたNゲージと言うと、EF65型電気機関車と貨車数両。103系通勤型電車・20系客車・113系電車などで、プラモデルなどが趣味の清田も楽しめるだろうと思って、さっそく家にあったレールとトランスを出してきてループ状に線路を繋げて走らせてみた。久しぶりに走らせるので、まずはレールクリーナーで線路や車輪に付着した汚れを拭き取り、きれいにしてから走らせると、滑らかに各車両は走り出した。コトンコトンと言う小気味いい音を立てながら快調に走る。ただ、私の部屋で線路を広げたので、とにかく男子高校生が4人も集まったら狭いし暑苦しい。この当時、クーラーはまだ私の部屋には取り付けられておらず、窓を全開にして、扇風機をフル回転させて暑さをしのいでいた。やがて昼になって、清田は家に帰っていった。

「こんばんBBQするから、夕方から遊びに来るか?」

と言うと、清田は

「おぉ、お邪魔させてもらってもいいんか?」

「当たり前じゃん。用事が無かったら絶対来いよ」

そう言って一旦清田は帰っていった。

「へえ、さっきのリンダの同級生、吹奏楽やってんのかぁ。体格がええから体育部に入ってるんかと思った」

「あぁ、中学の時はバレー部に入ってたらしいで」

「そうなんや。そう言うリンダはマイコン同好会やもんな。てっきり足が速かったから、陸上のトラック種目やってるかと思ってたわ」

「まぁな。今はそんなに走るっていうことはしてへんけど、体力測定したら、県平均よりもええタイムが出てるで。俺はどちらかと言うたら、中距離が得意やからな。結構持久力はあるみたいや」

そして暑い一日が暮れて行って、両親が帰ってきてBBQの用意が始まった。清田から電話があり、清田も加わって、男性陣は庭先でBBQの準備。女性陣は肉や野菜の下ごしらえ。家の駐車場でするのでBBQをするので、車をちょっと空き地に停めさせてもらって、木炭に火をつけて火おこし。やがて下ごしらえが終わった肉や野菜が運ばれてきてBBQが始まった。肉の焼ける芳醇な香りと、ジューっという食欲をそそる音が期待を膨らませる。父はビールを飲んで、私たちはジュースで乾杯。同じ肉でも外で皆でわいわい言いながら食べるというのは、美味しくて楽しいものである。昼間会ったばかりの清田と星田や柳井もすっかり気のしれた昔からの友人のようになり、お互いの高校生活について話したりしていた。柳井は

「俺は柔道やってんねんけどな、今度学校代表として、大会に出ることになってん」

「へぇ。体重は何キログラム級?」

「俺は70キロ級や」

「70キロ級っていうたら、高校生クラスやったら重いクラスに入るんちゃう?」

「そうや。でも体重管理が結構大変やわ」

「そうやろうなぁ…。体重があまり増えすぎても減りすぎてもあかんやろうからな」

「星田は陸上部やろ?小学校のころから短距離がめっちゃ早かったけど、今も短距離?」

「そう。俺は100mと200mを中心に練習してるわ」

「そう言えば清田君は吹奏楽部でどんな楽器を担当してんの?」

「俺はチューバっていう金管楽器の中で一番大きな楽器を担当してるよ」

「やっぱり吹奏楽っていうたら、肺活量が必要なんちゃう?」

「うーん。自分の肺活量がどれくらいか測ったことないから、どれくらいあるんか解らんのじゃけど、たぶん結構あるんじゃないかなぁ?」

「ホンでリンダはマイコン同好会でどんなことやってんの?」

「俺?俺はこの前、2062年に地球に接近するハレー彗星の軌道のプログラミングやったばかりやわ」

そんなこんなで部活の話で盛り上がって、BBQ が終わって、私が買っておいた花火をすることになった。人数が多いので大きめの花火を買って、皆で夏の夜のひと時を過ごして、楽しい時間は過ぎていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る