第114話3学期スタート
翌日は近所の家々をまわって新年の挨拶をして、その後は特にどこかに出かけるという予定もなかったため、のんびりと正月を過ごしていた。ただ、あまり正月気分に浸っていると、学校の宿題や課題がおろそかになってしまうので、
「そろそろ学校の勉強するかなぁ…」
と思って、宿題で出されたところをいろいろと辞典や参考書を引き出して解いていく。社会科の歴史や地理、科学の法則や国語の文法、苦手ではあるが数学の公式や英語の勉強もした。そうして冬休みが終わるまでに学校から出された宿題などをすべて終わらせて、3学期を迎えた。学校に行くなり私はクラスの不良から
「お前宿題やってきたか?ちょっと見せろや」
と言ってきた。私はさらさら見せる気はなかったので、
「悪いけど俺も出来があまりよくないから、見せられるものじゃない」
と言って見せなかった。私も勉強は好きではなかったが、さぼるということは大嫌いだったため、わからないなりに自分で問題を解いて済ませたのである。ハナから勉強をやる気のない奴らと一緒にされたくなかった。そのことで不良からはグダグダ文句言われたが、私は聞く耳を持たなかった。そして山田がしつこく
「一緒に帰ろう」
と言ってきたが、私はT君の件があって以来、山田とは一切付き合うつもりはなかったので、一言
「しつこい。俺はお前とは付き合うつもりはないと言ったじゃろうが」
そう言って冷たく突き放して帰った。山田はなぜ私が彼との付き合いを一切拒否しているのか、まだその理由が理解できていないようであった。あのT君に対する凄惨な暴力を見て面白いと思えるその神経が理解できなかったし、あんな奴らと同じ穴の狢と思われたくもなかった。それに何とかしてやめさせないと大変なことになるという思いもあった。だから私はそのクラス担任の先生に連絡したのであるが、そんなことも理解できないような奴と関わりたくなかった。それに山田が一緒に帰ろうというのも、自転車通学である私の自転車の荷台に荷物を載せて自分が楽して帰りたいだけと言う理由もあった。自転車で授業が終わってすぐに帰ると15分ほどで帰れるのであるが、山田と一緒に帰ると、彼の家の前まで付き合うように言ってくるので、40分以上はかかっていた。はっきり言って私としてはすごく迷惑なだけであった。私が冷たく突き放しても自分が楽したいために言い寄ってくるので、いい加減私は頭にきて、
「俺は一切付き合わんと言ったじゃろうが。T君がいじめられているのを見て楽しいと思うような奴なんかと一緒に帰りたくない。お前ひとりで帰れ」
そう一括してようやく自分が、なんで私が拒否しているのか理解したようである。
「T君のことで怒ってるんじゃったら謝る。ごめん。嫌な思いをさせて悪かった」
そう言ってきたのであるが私は許さなかった。いじめられている側の人間がどれほど辛く、苦しい思いをしているのか、毎日暴力に怯えながら学校に来なければならないことがどれほど恐怖か。それを立った一言
「ごめん」
すましていいような問題ではないのである。山田と言う男はいじめということをあまりにも簡単に考えすぎていた。それが許せなかった。
3学期早々怒りを感じながらのスタートとなったが、それ以降山田が私に話しかけてくることはなくなった。
そして1月も半ばを過ぎて一段と寒さが厳しくなってくる。その日は朝は雪が降ってなかったのであるが、天気予報ではかなり雪が降るという予報が出ており、その予報通りに雪が降り出し、下校時間になると雷鳴も轟いていた。自転車をこいで学校を出たが、雪のためタイヤがスリップして非常に危険なため、あえなく自転車をこいで帰るのはあきらめて、持ってきたビニール袋にカバンを入れて教科書などが濡れないようにして荷台に括り付けて歩いて帰った。普段なら歩いて帰っても1時間もあれば余裕で家に帰り着くのであるが、この日は雪に足をとられて歩きにくく、途中で雷鳴が鳴り響くので、避難して帰ったりしたので、2時間かかって帰った。家に帰るころには日も暮れて真っ暗になっていた。姉も同じ時間に帰ってきて、寒いので風呂を沸かして、まずは入浴して体を温めて、そのあとに夕食をとったのであるが、寒い中、時間かけて歩いて帰ったのが影響したのか、風邪を引いたみたいで翌日38度前後の熱が出て、学校を休むことになった。幸いインフルエンザではなかったのであるが、思わぬ影響が出てしまった。
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