第111話徒歩通学日
文化祭が終わるとだんだん寒さが厳しくなってくる。私が通ったK中学校には、健康増進を図るという名目で、徒歩通学日と言うのが設けられており、この日は遠方から通う生徒も徒歩で学校に通わなくてはならない。月に一度、土曜日に行われるのであるが、私が住んでいるところから学校まではおよそ4キロあり、歩いて通うとなると40分ほどかかる。中にはちゃっかりした者もいて、通学途中にある知人の家まで自転車で出発して、その知人に自転車を預けて、そこから歩いてくる奴もいた。まぁ、そんなことをするのはつっぱってる奴ばかりであったが。私はまじめに家から歩いてその日は学校に通っていたが、後に部活での移動に支障が出るということで、運動部を中心に廃止を求める声が上がり、私が2年になるころにはなくなったが。
それにこの徒歩通学日と言うのは、保護者からも不評で、子供が早く出発する分、家の用事も早く済まさなければならないため、
「なんでこんな校則があるのよ」
と愚痴をこぼしていた。徒歩で学校に向かう場合と、自転車で向かう場合、20分は出発時間に違いが出てくるため、朝食の準備が大変だったようである。
さて、やがて2学期の期末試験が行われ、テスト期間中は部活も行われないため、帰宅部であっても、堂々と帰れる。各教科の先生から出題範囲が示されて、習ったことの復習を主にしていくわけであるが、中間試験が終わってからすぐに習ったところは忘れてしまっているところも多く、習ったことを思い返しながらの勉強が続く。数学の公式や英語は相変わらず苦手で、なかなか覚えられなかったことに変わりはなく、家庭教師の先生を地けてもらって勉強しても数学と英語の成績は良くて平均点前後、大体は平均点を下回る成績であった。そのほかの国語・社会・理科で得点を稼いで学年の順位を何とか維持している状態であった。数学と英語の成績が一向に上向かない私に母は
「相変わらず数学と英語がだめじゃねぇ…」
と言ってはため息をついていた。この期末試験が終わると、足早に年末を迎えて、クリスマスに年末年始がやってくる。その年末を前にした12月の終わり、終業式の前で、私にとって過去のあの忌まわしい記憶を呼び起こさせる、最悪な事件が起きる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます