第156話 卑怯だぁ?!
自由の森のとある男性幹部職員
その後退職して現在は別の仕事をしているという。
あの年、あの地で何かの話でこんなことを言い出した。
いじめ問題がクローズアップされ始めた頃のこと。
生命にかかわる事件が起きた時、彼は言った。
どんな理由でも、自殺なんかするのは卑怯だ。
第三者が無責任な立場で述べたのなら、まあいいとしよう。
だが彼は、その問題となった人物の担当もしていた時期がある。
それも、その前年度まで。
確かに、その時点では当該人物の直接担当ではない。
それに加え、彼がその事件の引き金となる原因を作ったわけではない。
しかしながら!
彼は、自由の森の現職の幹部職員である。
それも副園長格だぜ。
そんな人間が、なんてことを言うのだ。
彼はその年度末、自由の森を退職していった。
実家に資産があるから、食うに困ることはないらしい。
この人物は、短大を出て間もないネエチャンを弾除けにして、
進学校の受験を迎えた、のちに作家となる人物を担当した。
ただし、間接的に。
弾除け用意して、安全地帯から好きなことホザいていただけだった、
ってこと。
昭和の時代は、こんな人物でもこの世界は通用していたってことか。
自殺するのが百歩譲って卑怯だとするなら、
そのような事態を招いた責任を取らぬテメエには、その仕事をする資格ねえよ。
とっととやめちまえ!
と言われたかどうか、保身も尽きたのか、知らんけど。
彼は今も、とある地である仕事に携わっているらしい。
どんな業種のどんな役職かは、武士の情けで伏せておいてやろう。
じゃあな。
ま、彼がどこで何をしていようが、
そんなことはもちろん、わしの知ったことではないがな。
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