泥の中は暖かい

 進まなければいけない、そんなのはもう分かっている。でも、もう一人の自分が囁くのだ。

『進んで何になるの? 苦しいだけだよ。あたし嫌だよ』

 私だって苦しいのは嫌だ。だから、この状況に甘んじてしまう。すると、もう一人のあたしは満足そうにする。

『あなたはそれで良いの』

 ……本当に、良いんだろうか。

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