幽霊が見える少年というと児童書では王道ではあるけど、本作には間違いなく他の作品にはない魅力が数多くある。
例えば主人公のユウは幽霊が見えることを周りからからかわれたりしていて友達もいない。それなのに本人は幽霊の友達がいるため、そのことを特に気にしていない。
ぼっちであることは深刻な悲劇として扱われることが多いなか、この描写は何気に新鮮で、そのおかげで安心して読み進めることができる。
そして、この安心さに拍車をかけているのが幽霊三人衆。とにかく、この三人のキャラが抜群で何が起きても、この三人にかかればシリアス展開も一瞬でコメディにしてしまう。
そのほかの登場人物も一人残らず魅力的で決して記号的ではない、人間味を感じる。
話のまとめ方もすごくうまくて憧れる。
あと、本作は角川つばさ文庫小説賞に応募されてるんですが、その応募要項が7万文字以下。そして、本作の文字数は69,999文字。
推敲を重ねないとこうはならないし、しっかり文章の細部まで気を配って書かれたのが伝わってきました。
小学六年生のユウくんのあだ名は「ぼっち」。
いつも一人で遊んでいることが多く、さらには誰もいない空間に話しかけ、笑い、ツッコミを入れ、ぼっちでも愉快にやっている。これぞ究極のひとり遊び!!
……に、周りには見えるのですが、このユウくん、実はひとりで遊んでいるのではないのです。彼、みえる子でして。幽霊のお友だちが三人いるんです。
と書くとホラーだ、とりつかれてるんじゃ、と心配になってきますが、ぜんぜん違います。
個性爆発。このおばけ三人衆、見た目はお化け屋敷のエキストラみたいですが、ユーモアたっぷりなんです。粋な姉御は頼りになる仕切り役、最強のお侍さんはちょっとドジだけど義理堅い、チンピラ兄貴なおばけは、クライマックスとある特技でユウくんをお助けします。
しかも素敵なことに、この三人衆、死因が笑える(笑うなよ)
ってかんじで、とにかく愉快です。
こんな楽しい幽霊のともだちがいるんですから、ユウくんはべつにさみしくなんてありません。ただ周囲の理解がないのがちょっと気になるところではありますが……。
と、そこへ、新たな幽霊が登場。
人間のともだちは苦手ですが、幽霊ならすぐに仲良くなれます。
でもこの幽霊、同い年くらいの男の子の姿をしているのです。ということは幽霊になった理由はぜんぜん愉快じゃないかも……と思いきや。
視点が切り替わり、あらたな事実が発覚します。おおっ、そういうことなのっ!?
しかし面白い展開だと喜んだのも束の間、まさかの悲劇が!!?
デリカシーに欠けるけど悪気はないクラスメイト男子に、お屋敷の病弱なお嬢様、その世話役のおばさんにパニックを起こすと若干キャラが壊れる執事の紳士。それから登場シーンは少ないのですが、インパクトがあった動く○○も面白い。
ぼっちのユウくんの周りは、生きた人間も加わり、次第に賑やかになっていきます。
登場するキャラクター、全員が愛らしい。
ラストのハッピーエンドに、ほっこりあたたかい気持ちになりました。
子どもから大人まで安心して楽しめる作品、おすすめです。
どくしょかんそうぶん
あまじょう ゆき
あたちは、この夏、『ぼっちのユウ』と『ひとりのレイ』という本をよみました。
その中で、『あやかおじょうさま』という人が気になりました。
あやかおじょうさまは、からだがよわくて、外であそべません。
いえの中でも、テレビもゲームもできません。
ベッドの中で、本をよむか、べんきょうするか、というまい日です。
まるであたちのことのようで泣けてきます。よよよ。
(ん? 今、『おまえは野生児だろ!』と言った男子! あとで泣かす!)
そんなあやかおじょうさまは、ひつじ(執事)のながおかさんからもらったぼうえんきょうで、ふしぎな男の子たちを見つけました。
男の子はふつうですが、いっしょにいるのは、おばけというか、ゆうれいっぽいのです。
なん日も見ているうちに、あやかおじょうさまも、その男の子たちとなかよくなりたいと思いはじめました。
あやかおじょうさまのぼうけんがはじまります。
(中略)
そしてさいごには、あやかおじょうさまは、『おともだち』と『げんきなからだ』と『ペットのようかい』を手に入れました。
めでたしめでたし。
おもしろかったです。続きが出たら、またよみたいとおもいます。
小学6年生の主人公宝地悠宇くん、通称「ぼっち」くんは、幽霊の見える子どもです。
運動も勉強もちょっとずつ苦手な彼は、お友達らしいお友達がいません。
いえ、大人の幽霊友達はいるんです。
だけど、人の友達がいなくて……。
ぼっちくんは、どちらかというと内向的で、物事を客観的にとらえられる子です。
ちょっと前だったら、「おとなしい子」「大人びた子」で説明されるんでしょうが……。
今の時代、こういう子は「コミュニケーション能力が少し足りない」と言われたりして、なかなか難しいですよね。
ひとりで過ごすこと、というか、ひとりで過ごせる能力というのは年が上がるにつれて社会で必要になってくるのに、協調性ばっかり強調されるのは変だなぁと常々私は思っています。
だけど。
友達がいると無条件に面白いこともある。
気の合う子たちと、バカみたいに大笑いしたり、たわいないゲームで真剣勝負をしたり。泣いたり笑ったりするのは本音で語っているから。
趣味や共通の話題で大人と盛り上がることはできますが……。
大人はやっぱり子どもと対等でありません。
配慮もするし、気づきも子どもより多い。
ましてや親はあくまで親です。友達にはなれない。
真っ向勝負でぶつかっていけるのは同年代の子だけ。
ぼっちくんは、この夏、大切ななにかを見つけます。
私、この物語、大人に読んでほしいなぁと思います。
学校では『ぼっち』と呼ばれていてひとりきりなユウくん。
けれど、放課後になれば、ユウくんには一緒に遊んでくれる個性的な三人の友達がいるんです!
……全員が全員、幽霊ですけれど……。
そんな幽霊が見えるユウくんが出会ったのは、自分と同じくらいの幽霊の男の子レイ。
毎日、楽しく遊び、時には宿題を教えてもらって仲良くなる二人ですが、実はレイには秘密が……。
レイに隠された秘密とは果たして何か?
児童書にふさわしく、個性的でありながらも根っからの悪人はいない登場人物達が織りなす、ほっこりな友情物語。
気になる方はぜひ覗いてみてください~(*´▽`*)
小学6年生の宝地悠宇は、友達のいない、ぼっち。
だけどそれは、学校の中だけの話。外には、彼を『ユウ』と呼んで一緒に遊んでれる仲間がいるのです。
その仲間というのが、派手なシャツ着てほっぺたに傷のあるチンピラ、時代劇に出てきそうなきれいな着物を着た姐さん。そして、落ち武者。
いや待て。そんなのと遊んでるなんて大丈夫なのと思った皆様、どうかご安心を。
この人たちは、みんな幽霊。そしてユウくんは、そんな幽霊が見えるという縁で、みんなと仲良くなったのです。
どうです、安心しましたか? えっ、幽霊なんて大丈夫なのかって? 心配ご無用。
幽霊と聞くと怖いイメージがありますが、別に誰かを恨んだり祟ったり、暇つぶしに呪い殺そうなんて悪い人達じゃありません。
死ぬ前はいい人たちだったのに、死んで幽霊になったとたん極悪人に、なんてことはないのです。
そんなユウくんと幽霊三人ですが、新しい仲間が加わりました。
ユウくんと近い年の男の子、レイくんです。
まだ幼いと言っていいのに、亡くなって幽霊になってしまうなんて。そんな悲しい背景を背負ってはいますが、だからこそ一緒に楽しんで笑顔になりましょう。
と思いきや、このレイくん、実は意外なことを隠していました。
なーんて書くと、悪霊? 悪いやつ? なんてまたもや心配されるかもしれませんが、大丈夫。この子も悪い子ではありません。
ただし抱えている事情がややこしい事態を引き起こし物語は思わぬ方向に転がっていくのです。
幽霊だって生きた人間だって、ぼっちだって個性豊かな面々だって、そしてずっと一人でいたこだって、きっかけとほんの少しの勇気があれば仲良くなれる。
幽霊たちとのワイワイしたやり取りを楽しむだけでなく、そんなほんのり暖かい気持ちにさせてくれるお話です(*´▽`*)
『ぼっち』とあだ名されるほどぼっちのユウには、友達がいる。それは三人の個性的な幽霊たちで。ある日、同年代の幽霊レイとも遊ぶことになり、すぐに意気投合したふたり+三名だが、レイには実は秘密があって……というストーリーです。
児童向けの作品ですが、大人でもとても楽しめます。
何よりも魅力的なのが、個性的な三人の幽霊たちです。
お松さん、べーやん、ザエモンの三名なのですが、もうすさまじい個性で。
死んだときの姿をしているのですが、もうさ、刃物が刺さったままとかですからね。
性格も個性的で、私は特にお松姐さん推しです。
レイの秘密っていうのも、作品のスパイスとしてとても良く効いていて。
全力でレイの味方をしてしまうほどには、レイの境遇に同情しそして心配します。
もっと読まれていいと思うんです、この作品。
ストーリーが進むにつれて、「これって凄く名作なのでは?」と思い始めて来ていて。
児童向けの作品ですけど、大人が読んでも凄く魅力的な作品なんです。
子供も、こういうちょっと怖さのスパイスが効いている(幽霊とかね)作品って好きだろうなって想像できます。
夏は怪談の季節ですし、お化けが出て来るこの作品をぜひオススメしたいです。
あ、怖い話じゃないです。とても心温まる作品です!