第5話 神よりも信じられる友達のほうが大事

 朝、小高友人がスマホを見る神崎鷹志からメッセージが来ていた。

〈神が家に来ました。助けてください。〉

謎の文章だった。うわ、めんどくせっ、適当に返しておくか、としばらくスマホを叩く。

〈よかったね。助けて貰うなら神様がきっと助けてくれるよ。〉

よし、これでいいか、と部屋を出ようとするとすぐにピコンと着信音が鳴った。

〈神なんてクソヤロウだ。早く助けに来てくれ>

助けに行く?なんで?まあいいか。

〈そんなこと言うなよ、神様はいつだってお前のことを見てるよ、きっと助けに来てくれるよ〉

よし、トイレ行こう。畳んだ布団にスマホを投げて部屋から出ようとしたとき、着信音が鳴った。

〈確かに神様はオレのことをいつだって見てくる。どちらかというと付き纏われていると言ったほうがいいかもしれない。トイレにだって来るんだぜ。〉

しょうがね、ちょうど大がでそうだしトイレに持っていくか。

〈そうだね、神様って身の回りにたくさんいるからな。〉

ちょうどお腹に力を入れたときスマホが鳴った。

〈いや、オレが言ってる神様はひとりだ。〉

あ、こいつキリストだっけ、いや、イスラムだっけ。

〈そだね、神様はひとりだね〉

ケツを拭いているときに着信音が鳴った。

〈神を考えてると頭がおかしくなりそうだ〉

水を流している音を背後に、なんだよこいつ、宗教勧誘じゃないのかよ、と小高は思った。ちょっと距離置いたほうがいいかな、て思ったじゃん。

〈どっか気分替えに遊びにいくか?ついでに悩みがあれば聞いてやるよ〉

正直めんどくせえけど、まあ友達のことだからしょうがねえか。そう思って外行きの服に着替え始める。

〈助かる。この前行ったカフェで会うのはどうだ?〉

カフェか。あいつ、奢るとかしてくれないよな。財布も持っていくか。

〈了解〉

オレちょっと出かけてくるから、留守番よろしく、と自分の部屋に引きこもっている妹に声をかける。気の抜けた返事を背後に玄関の扉を開ける。

部屋の明かりより強い光を感じる。青空が広がっていた。

行ってきまあす、と言って玄関を閉める。鍵を回してカフェに向かって歩き始めた。

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